
泣かぬ鼠が身を焦がす
第11章 昔離れたあわせもの
それから意識がぼーっとして
途中から記憶がなくなって
気が付いた時には、大きな声で名前を呼ばれてた
「ーー!ーーラ!ノラ!!ノラ!!」
「……ん……ぅ……?」
なんか喉が痛い
プールで思いっきり水飲み込んじゃったみたいな
そう意識した途端に咳がこみ上げてきて、俺はうずくまるように身体を丸めながら咳をした
なに、これ
苦し……っ
なんで
「ゴホッ、ゲホッ……」
「大丈夫か、ノラ」
名前を呼んでいた杉田さんは俺の隣で背中を摩ってくれている
そして、ようやく気がつく
あれ、なんで杉田さんいるの
ていうか俺いつの間に風呂から上がった?
ん? でも髪の毛濡れてる……
と、そこまで状況を把握したところで杉田さんに大きな声で怒鳴られた
「浴槽で寝たりしたら危ないだろ!!!!あと少しで死ぬところだったんだぞ!!!!」
「!!」
俺、風呂で寝てたの……!?
それで溺れかけてたのを助けられた?
今ようやく知った事実に、顔から血の気が引く
「ご、ごめんなさーー」
とにかく謝んなきゃって思って口に出した言葉は、途中で杉田さんに抱きしめられたことで遮られた
