
泣かぬ鼠が身を焦がす
第9章 磯の鮑の
「ちょっ……も、やめろって、ば……っ」
「気持ちいいだろう?」
気持ちいい、けどさ
「風呂……入んない、わけ?……っあ、ん」
「あぁ、そうだな。裸のままこんなことろにいては、風邪を引いてしまうからな。入るか」
そう言うと、杉田さんは自分の服をバサバサと脱ぎ捨てた
「…………最初から自分で脱げよ」
「脱げないから頼んだわけじゃないんだよ」
「はいはい。俺のこと縛るためね」
「…………」
ん?
「杉田さん?」
「あぁ……そうだな」
会話のテンポが一瞬変になったな
どうしたんだろう?
でも、その疑問を解消する前に杉田さんに背中を押されて浴室に入れられた
「え、俺の手は?」
「そのまま」
なんか、不安だな
手縛られるのって
浴室に入るとすぐに杉田さんは蛇口をひねってシャワーでお湯を俺の頭からかけた
「わっ……ぶ、なんか言ってからお湯かけてよ!」
「わかったわかった、今度な。ノラは外出てないんだし、たまには洗わなくていいよな? ほら浴槽入ってろ」
「は? 何言っ……押すなよ!」
そして、ぐいぐい俺を押しやって浴室に入れる
なんか、機嫌悪くなった……?
