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泣かぬ鼠が身を焦がす

第8章 網の目にさえ


頭の下にある腕の硬さや温度
抱き枕とか言って抱きしめてもらってる時と違う触れ合った肌

全部どきどきして、心臓が痛い


「寝心地悪いか?」
「……なんで?」
「いや、さっきから身体に力入ってるみたいだから」


心配そうにする杉田さんの声色に、何でか身体があったかくなる


「あんな激しくされて、身体痛いだけ。枕も硬いけど」


なのに俺の口からは思ってもないことが出て行った


さっき変に疑ってごめんって
それも言えてないのに

俺の馬鹿


でも杉田さんはそんなこと気にしていない風で


「悪かった。身体拭いてやるから、我慢してくれ」


と言うと、俺にキスをして離れていった

俺の頭の下には、さりげなく入れられたいつも使ってる柔らかい枕


「あ……」
「? どうかしたか?」


え、俺今何で引きとめようとした?
こんなベタベタして気持ち悪い状態でいるなんて嫌なのに

もうちょっと、そばにいて欲しい……とか


「…………ナカのも、ちゃんと出してね。後でお腹痛くなる」
「あぁ。わかった」


納得したような顔の杉田さんはすぐに洗面所へと消えていく

姿が見えなくなると、俺の口からは大きなため息が漏れた

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