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泣かぬ鼠が身を焦がす

第8章 網の目にさえ


「ベッドから落ちなきゃだしドアも開けなきゃじゃん! 俺の立場で言えることじゃないのかもしれないけどさ、直後くらいゆっくりさせてよ」


何にもしてないんだからそれぐらいしろって思うのかもしんないけど!!
あんだけ激しくされてほいほい立てるかっての


流石にイラついて語気を荒げた俺に、杉田さんはきょとん顔


「?」


え、なに


「何を言っているんだ? ベッドから落ちる必要もドアを開ける必要もないだろう」


そう言うと、杉田さんは俺の手を引っ張りつつ自分も俺の方へ寄ってきて


「!!」


俺の頭の下に腕を滑り込ませた


う、腕まくら?
これするためにこっち来いって言ってたの……?


「ほら、別に落ちたりしないだろ」
「う……ん……」


だっ
だってだって俺こんなことしてもらった事ないし!


「身体拭けって言ってるんだと思った……」


正直に白状したら、杉田さんは笑った


「何で抱かれた方のノラにそんなことさせるんだよ。後で俺が身体拭いてやる」
「……ん……」


当然みたいに言うけど
俺はそんなこと初めてで


顔近いし

俺の心臓の音まで、聞こえてしまいそう

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