
密ばち
第13章 思わぬ遭遇
「かわいいねお姉さん!」
男は弥月に話しかけた。
いかにもチャラそうな4人組のうちの一人。
弥月は何も反応せずその場から去ろうとする弥月。
だが、男の一人が腕を掴みその動きを止められる。
「無視しないでよ~」
「いま一人?俺たちと遊ばない?」
次々と弥月に話しかける男たち。
「や、やめてっ」
掴んできた手を降りはなそうとするが、その力も虚しく。
ギュッと力強く掴まれているため、あまりの痛さに恐怖を抱く。
「俺たちといいことしようぜ」
無理矢理人気のない場に連れて行かれそうになったその時。
「あのー!俺の彼女に何してんの?」
ある男が弥月の横から現れた。
チャラいと言われれば否定はできない見た目だが、その眼差しは澄んでおり一瞬で悪い人ではないと確信した。
それは蓮だった。
啓二のためにスキを見て彼に会わせようと弥月を探していたところだったのだ。
「なんだ?彼氏いたのか」
男たちが彼を睨み付ける。
「すんません!もういいっすか?」
蓮はニコッと笑うと弥月を連れ、男たちに背を向けた。
「おい待てよ!!!」
一人の男が怒鳴る。
(しかたねえ…この手を使うか…)
と蓮は腹をくくると、前を指差しながら
「あ!おっぱいがおっきい子がいる!!!」
と告げ、男たちが振り向いているうちに弥月の肩を抱き走って逃げた。
「はあ、はあ、はあ、」
岩場まで逃げた二人。
「ごめんね……っ、走らせちゃって」
「いえ……ありがとうございました!」
頭を下げ、思いっきり上げる弥月。
その時。
ガッ
「うがっ!」
見事に蓮の顎にヒットした。
「あ~っ!!!ご、ごめんなさいい!大丈夫ですか!?」
慌てて顎に手を添える弥月。
「……っだ、大丈夫大丈夫……」
泣きそうではあるがニコッと微笑む蓮。
そして弥月の顔を覗き込むと、
「かわいい」
そういって弥月の頭を撫でた。
ピクッとする弥月。
何も汚れていない、女子のそんな新鮮な姿をいつぶりに見ただろうか。
