テキストサイズ

桜並木を見おろして【ARS・O】

第11章 マンション【智】

ステテコをはいて、リビングに戻る。

オシャレステテコっての?
嫁さんが買ってくれたのがはき心地がよくて、夏の風呂上がりはいつもこれだ。

暑いから、Tシャツを着るのはやめた。

上半身裸でバスタオルで頭を拭きながらリビングに戻る。

扇風機のスイッチを入れる。

時間は深夜12時半。

ローテーブルに投げ出した携帯電話には、着信はない。

「あ、そだ。」

ディバッグの中から、新聞の包みを出す。

桜の湯飲み。

アトリエから持って帰って来た。

それを、キッチンの食器棚に並べた。

嫁さんが選んだシンプルな食器の並ぶ食器棚で、その湯飲みは明らかに浮いていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ