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桜並木を見おろして【ARS・O】

第11章 マンション【智】

煙草を灰皿にもみ消した時、携帯電話が鳴った。

『もしもし、智?あたし~!』

「ああ、なんだよ?」

電話の相手は、同級生との飲み会で知り合った女。

ちょっと話が盛り上がって連絡先を交換したら、それから時々電話をかけてくる。

『今どこ?家?』

「ん、アトリエだよ。」

『ねぇ、あたし智の絵見てみたい!今度アトリエに行ってもいい? 』

また始まった。

東京に帰ってきてから出会う女は、みんなこうだ。

俺が絵描きだと知ると、やたらアトリエに来たがる。

「……、ごめんよ。アトリエは職場に借りてるから、あんまり部外者は入らせらんねぇんだ。」

部外者。

我ながら冷たい言い方だと思った。

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