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桜並木を見おろして【ARS・O】

第11章 マンション【智】

描きかけの絵に向き直る。

小春ちゃんをモデルに描いているのに、彼女は一度もスケッチブックもパネルも見ようとはしなかった。

自分がどんな風に描かれているのか気になんねぇのかな。

アトリエに置いている絵も、決して触ったりしなかった。

表向けて置いてある描きかけのタケシとアッコの肖像画は、じっと見てた。

きっと、あんまり描くのが遅いからあきれてるんだ。

俺が呼ぶまで、アトリエに来たいとも言わなかった。

基本的に、あまり俺はアトリエには他人は入れない。

そんな俺をお見通しのようだった。

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