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桜並木を見おろして【ARS・O】

第11章 マンション【智】

小春ちゃんには、毎週日曜日の夕方にアトリエに来てモデルをしてもらっていた。

構想が固まり、麻紙に下描きが終わると、もう来なくていいと言った。

『着彩を始めたら、自分ひとりで集中したい。』

そう言ったら、『わかった』と小春ちゃんは答えた。

それまでは毎週会っていたのに、その日を境に会わなくなった。

電話もかかってこない。

メールも来ない。

本当にぷっつりと、小春ちゃんは連絡を断った。

『来て』とか『来るな』とか都合のいい俺に、気を悪くしたのかもしれない。

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