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俺の幼馴染

第4章 液晶画面越しの関係

「今日さ、一緒に帰れる?部活終わるの待ってるからさ。」

薫から誘われ、俺は少し驚く。

同じ寮の部屋に住んでいるという理由と、部活の影響でこれまで一緒に帰ったことはあまりなかった。

「うん、待っててくれるなら。」

「そっか、よかった。」

「でも、何で急に?」

何だかいつもより俺と関わる薫。

少し変な感じがする。

「あー…実はさ。」

「うん。」

薫は言葉を濁す。

やっぱ何かあったんだな。

「柚原先輩から、一緒に飯食べないかって言われた挙句、帰りも一緒にって言われたんだ。何かあの先輩、俺のこと好きならしいんだよ。」

ああ、口実か。

なら早く言ってくれたら…って、柚原先輩って男じゃないっけ。

「柚原先輩って男じゃん。」

「要するにそういうこと。だから先輩には、大切な人と過ごすからっつって断った。」

どんな理由だよ。

大切な人だなんて、勘違いでもされたら酷い目に遭いそうだ。

「勘違いされたら俺、大変なことに…。」

「大丈夫。俺がお前を守る!」

そんな自信満々に言われても…。

本当に大丈夫?

「ん…ありがとう。っていう立場でもないか。」

「まぁな。付き合わせてごめん。」

「いや、いいよ。」

ちょっと迷惑だけど、薫が柚原先輩と付き合うなんて絶対嫌だ。

だから俺は、拒否することなく薫といた。

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