テキストサイズ

俺の幼馴染

第4章 液晶画面越しの関係

それからは本当にいつも通りで、普通に授業を受けて、部活に行った。

ただ普段と違うのは、薫が部活の見学に来ているということ。

ダムダムとボールが床に打ち付けられる音が体育館中に響く。

薫は体育館の中でただ1人制服を着て、壁に寄りかかっていた。

退屈かな、と気にしていると、バチっと視線が合う。

俺は直様視線を逸らして、ぐびぐびとスポーツドリンクを飲み干した。

いつものように、ちょっとした休憩になると、たかってくる先輩たちは今日も俺の頭を撫でる。

そんな様子を横目で見た薫が、にやっと笑った。

「何であいつ笑ってんの…。」

ボソッと呟いたが、そんな小さな声は誰にも届かなかったようで。

特に反応は無かった。

直後、休憩中の体育館にボールをつく音が響き始める。

誰もがその音のする方へ目を向けた。

それは俺も例外ではない。

目を向けると、目に映ったのは薫の姿。

バスケットボールを慣れた手付きでドリブルし、リングに触れることなく綺麗にシュート。

部員全員が目を奪われるような綺麗なフォームに、ごくりと生唾を飲み込む。

…実力は部員と互角か?

いや、下手をすると俺たちより上手いかもしれない。

「おおーっ‼」

少しの沈黙の後、体育館には歓喜の声が響いた。

わいわいと薫のまわりは賑わい始め、あっという間に取り囲まれていく。

全く、彼奴はどこに行っても人気者だな。

そう思いながらも、いつものことだけど、俺はその輪には入らなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ