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偶然からの必然

第5章 それから。

連絡をしても通じない。


もうダメだと思った。


千景を大好きな気持ちを抱えながらも、ホストの仕事には徐々に慣れていった。

CLUB HEVENは、No.1になれば給料が上がるという制度だったため、悠隆は必死になってNo.1を目指した。



一体、何人の女と身体を重ね、寝てきただろう…。



思い返す度に、気持ちが悪くなる。



今だって続いている。





そうしないと人気が保てないからだ。







千景には本当に申し訳ないと思っている。




会えない分、客の女と寝て埋め合わせていた。


でも、どこか物足りなかった。





この前あった時には本当に心の底から嬉しかった。


怖かった。


彼女がいなくなってしまうのではないかって。




途端に身体は彼女を求めていた。



はっきり覚えている、初めての感触。



忘れられるはずがない。






でも彼女は忘れてしまった。












俺はその話を聞いて、目の前が真っ暗になった。






それでも。



一番辛かったのは千景のはずだ。








親が死んでしまう悲しみは俺だって知ってる。



だからこそ、俺はここで挫けちゃいけない。








だから平然を装い、俺は千景に優しく言葉をかけた。











もうこれ以上、傷つかぬように…。





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