テキストサイズ

偶然からの必然

第4章 悲劇

どんな話が来ても大丈夫だと覚悟していた。


でも、ショックが大きすぎる…!!




なんで俺はその時千景のそばにいてやれなかったんだろう。

どうして俺の事やお母さんの事を忘れてしまったんだろう。





敬語だったのはそのせいだったのか…



などと、いろんなことで頭がいっぱいになる。







折角会えたのに……







俺は自分の手を爪が食い込むくらい、ギュッと握った。




「とりあえず、お前は俺の彼女であることは間違いはない。…って、名前覚えてないんだよな?」


「はい…」





俺がそう聞くと千景はしゅんとしてしまった。



「そう落ち込むな。俺の名前は夕凪 悠隆。あと、敬語はやめろよ?」



俺は千景にショックを受けたことがばれないように接した。


俺がショックを受けたなんて知れば、千景はもっと傷つく。




もうお前から、笑顔を奪いたくない…

そんな悲しい顔をさせたくない…!!



そんな思いが募って、気づいたらこうしていた。






「悠隆…ごめんなさい、覚えていなくて……」

千景は涙目で俺に謝った。




「謝るな!忘れちまったもんは仕方がない。少しずつ思い出してくれれば、俺はそれでいいから……」


俺がそう言っても千景の耳には届いていないようだった。




無理もないか……











本当はヤるつもりでホテルへと来たけど、とてもそんな気分にはなれないな……





「そんじゃ、シャワー浴びて寝るか!千景、先に浴びて来ていいぞ?」


「あ…あの……それって…!!」



「大丈夫。何もしないから…」




俺がそういうと、千景はシャワーを浴びに行った。











「さて…これからどうするかな、俺。」



俺は夜景を見ながら、小さく呟いた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ