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偶然からの必然

第4章 悲劇

千景がシャワーを浴びて出て来た後、

続けて俺もシャワーを浴びていた。






「折角会えたのに、何も出来ないなんてな…」


本当は千景から、

会いたかった とか

寂しかった とか

大好きだ とか


そんな言葉を聞きたかったのに……







って、無い物ねだりしてもしょうがないよな。




言ってくれなくたっていいじゃないか。












彼女が元気で、俺の前で笑っていてくれれば…









今は千景の記憶を戻すことが最優先だ。












もう二度と、あいつから離れないように。
















あんな、寂しい顔をさせないためにも



俺は頑張らなくちゃいけないんだ。










そう心に決めて、シャワーを止め服を着て部屋に戻った。








「千景?何してるんだ??」

千景をみると、携帯をいじっているようだった。

「えっと…今日泊まるから帰らないって、千歳兄に連絡してたの。」



「そっか…あ、そうだ!連絡先交換しないか?」



「うん、そうだね。」






赤外線で連絡先を交換した後、二人とも布団に潜った。









「何もしないから、安心して眠れよ?…っても信用なんか出来ないよな……」


俺がそういうと、千景は俺に背中を向けた。




「大丈夫。わたしは悠隆を信じるから…お休みなさい」



俺も千景に背を向けた。






こんなに近くに居るのに、千景がとても遠く感じた。













その日、俺たちは何事もなく静かに眠った。

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