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ガチャッ

休憩室に入ると、誰かがいた。


「あ、千景先輩！お疲れ様です！！ってか数日前に倒れたって聞いたんですけど、大丈夫ッスか？」


休憩室には、大学の後輩だった新城 雅（しんじょう みやび）君がいた。

家にそんなにお金がないらしく、

大学へ行くための学費を自分で稼がなければいけないらしくて、うちのカフェにバイトできてもらっている。

この後、夜も仕事をいれていて、さらに大学にも通っているなんて、相当大変だなぁと思う。

でも、どんなことにも一生懸命な雅君を見ていると、

わたしも頑張ろうという気になる。


「うん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。」


「いえいえ！先輩が居なかった日は、俺、頑張りましたんで！！」

「え！？もしかして、倍働いてくれたの？！ごめんね？」

ニコニコと爽やかな笑顔を浮かべながら言う雅君に、

私はとても申し訳ない気持ちになった。

「倍になったくらい、どうってことないっスよ！」

そう言ってまた笑ってくれる。

私はいつもこの笑顔に和ませてもらってるなぁと思いながら、私も笑顔を見せた。

でもやっぱりなんだか申し訳ないな…


「やっぱりなんか申し訳ないよ。私にできることならお詫びをしたいんだけど…」

「え！？そ、そんなぁ…じゃ、じゃあっスよ…？」

そう言うと雅君は深呼吸した。

「俺がもう一つ掛け持ちしてる、バイトに遊びにきてください！！千景先輩が来てくれれば、売り上げとか少し上がるだろうし…お友達とか誘って…だめ、っスかね…？」

「そんなことでいいの？全然いいよ！！じゃあ、誰か誘っていくね！雅君がやってるもう一つのバイト先ってどこ？」


「あ、はい！これっス！この名刺の裏に書いてある地図通りに来てくれれば着くはずっス！！」

そう言って雅君は名刺を私にくれた。

「じゃあよろしくっス！いつでもいいんで。じゃあ、俺はもう一つのバイト先に向かうんで！千景先輩、また明日っス！」

そう言って雅君は、ひらひらと手を降りながら休憩室を出て行った。