
誠の華
第1章 出会い
「泣くなよ......」
私の涙を親指で拭う土方さん
低い声が鼓膜に響く。ぶっきらぼうなのに何故か心地いい
「お前が泣くと........どうして良いのか.......困る」
「やだな、泣かせちゃった本人が何言い出すんですか?」
沖田さんが土方さんの手をパシリと叩き私を引き寄せた
「キャッ」
小さく悲鳴を上げた私をヒョイと持ち上げ膝に座らせるとニッコリ笑った
「取り敢えず名前を教えてくれますか?」
沖田さんの穏やかな声と表情に浮かんでた涙も引っ込んだ
「あ、あの......優です......あのっ......私、本当に未来から来たんです!!!!」
グッと拳を握り締め、沖田さんに抱き締められながら放った言葉
「ええ、僕は信じますよ」
沖田さんの言葉に同意する様に土方さんが溜息を吐き出した
「まぁ、それは実証済みだろ」
「ああ、驚いたが一体どうしたものか」
私、どうなっちゃうんだろと思ってると
「行く所も無いだろう、どうだろう、そう言う事ならウチに居てもらうと言うのは!?」
近藤さんの声にパチクリと瞳を瞬く
「まぁな、コイツの未来の知識は脅威だな。長州にでも渡ったらそれこそ終わりだ」
その言葉にふと疑問になってた事を聞いてみた
新撰組の歴史は私の頭の中に入ってる。そしてリックの中には歴史の本が入ってる
「これから先の事を聞かないんですね」
そう言った私の言葉に反応したのは近藤さんだった
「気にならないと言ったら嘘になるかな」
