
誠の華
第1章 出会い
一瞬シーンとなった後、私を可哀想な子でも見る様に見つめてくる一同に唇を噛み締める
「う、嘘じゃありません!!!」
そう言いながらリックをゴソゴソと焦り再びお菓子とスマホを取り出した
「あ、それはさっき私が貰ったやつ...」
沖田さんの手に小さなチロルチョコを握らせ目の前に座る一同の掌に一つ一つ置いて行く
近藤さんは先程沖田さんから貰ったのを思い出し「君のだったんだね」と微笑み口に頬張った
それを見つめて各々に口に含む男達
どの人も瞳を見開き驚愕してる
それを止めとばかりに
「はいチーズ」
パシャパシャパシャパシャと、カメラの連写モードを使い皆の顔をフイルム越しに写した
固まる一同の顔にプッと噴き出す私
「ほら、見て下さい」
皆に見える様に掲げると丸い瞳を余計丸くする一同
「うぉ!!!!お、俺が居る!!!!」
「な、何だコレ!!!さ、さっきの光は!?」
「見ろよ!!!俺の顔!!!!」
写真ホルダーを開き一つ一つ見せる私
信じてくれます?と瞳を潤ませ見上げると皆して顔を真っ赤にさせた
「その顔を見せんな!!!」
そう言いながら私の顔を大きな掌で覆い隠す土方さん
ムッと頬を膨らませ土方さんの手を押し退けた
「そりゃ此処に居る皆さんに比べたら不細工ですが.......酷いです。土方さん.....」
段々と悲しくなって来て目に涙を浮かべる
しかし、涙の訳はそれだけでは無かった
別に土方さんに言われたせいだけで涙を浮かべたのでは無い
ただ..........写真ホルダーを開いたさい現れた以前撮った家族の写真に胸がくるしくなったから........
涙が浮かんだ事により、気持ちの余裕が無くなっただけの事
思い浮かぶ家族の事
一度涙が出ると次々と思い浮かぶのは未来の事だった
帰りたい
帰りたいよ
