
誠の華
第2章 小姓ってこんな感じなの?
ユックリ顔をその方向へ向けた沖田さん
「........一....君?」
そして沖田さんの瞳がユックリ私へ戻って来る
徐々に見開かれる瞳
「あ......」
私の足の間に有る自らの手を直視するとバッと音がしそうな程、距離を取る沖田さん
いきなり離された事によりお湯の中へ凄い音と水飛沫を上げ沈んだ私の身体
咄嗟に手を差し伸べようとした沖田さんだけど、思い止まった様に掌を握り締めた
それは伸びて来た沖田さんの手にビクッと反応した私と
感情の篭ってない斎藤さんの声が響いたから
「触るなと言った筈だが?」
その声と共に苦しそうに何かを耐える様に唇を噛み締めるとその場を後にした沖田さん
沖田さんが居なくなるとホッと胸を撫で下ろした私の瞳からはポロリと再び涙が流れ落ちた
「そっちに行っても?」
斎藤さんの低くて淡々とした声
その声が届くと同時にボロボロと溢れる涙
「........何もしない.......そっち行っても?」
私が何も言わないからか、再び響く斎藤さんの声は先程よりも少しだけ優し気に聞こえた
泣きながらコクコク頷くとユックリ中へ入って来た斎藤さん
そしてハァーッと溜息を吐き出すと「すまない」と誤ってきた
斎藤さんが悪いわけじゃ無いのに
「すまない」
何度も謝る斎藤さん
「触っても?」
そう言ってユックリ手を伸ばして来た斎藤さんの手
何もしないと呟きながらフワリと頭を撫でられ、やはり淡々と無表情に「すまない」と誤ってきた
そんな斎藤さんを見上げれば揺れる瞳
ユックリ私の涙も止まる
そんな私を確かめた斉藤さんの手がユックリ離れて行く
「総司の代わりに詫びよう
アレは......すまない.......許してやってくれ」
ポツリ、何かを考える様に、言いづらそうに言葉を投げ掛ける斎藤さんを滲んだ視界の中見つめた
「風邪引く.....よく温まれ.....それと血の匂いを落とせ」
それだけ伝えると去って行った斎藤さん
その背中をただただ、見つめた
