
この手を離さないで
第6章 第六章 柚希
そう言って俺は繋いでいた手を離した。
離れてしまった左手を悲しそうに見つめながら柚希は足を止めた。
「だって、あたしはまだ高校生だもん…。」
後ろを振り返って、柚希の所に戻った俺は彼女をそっと抱きしめた。
『そうだったな。ごめん』
頭を撫でてやると柚希は不貞腐れなのか、プイッとそらした。
「なんか子供扱いされてる気分…。」
『子供ってか、柚希は俺にとって妹みたいなもんだしなー』
「っ…!」
一瞬柚希が泣きそうな顔をした
が、すぐにいつもの無邪気な柚希に戻る。
『ほら、帰るぞ。』
や柚希の目の前に右手を差し出す。
「え?なんで…。」
『お子さまは危なっかしいから、ちゃんと手繋いでないとお兄ちゃんは心配で帰れねぇんだよ。』
