
背中デ愛ヲ、囁キナサイ
第1章 暗闇ノ中デ
彼女を愛しいと思う気持ちも、彼女の態度に不安を覚える気持ちも、素直に表せない大人の男の体の一部。
そんなところに一番正直に表れるのか、気持ちって……
僕は左腕に彼女の小さな頭を乗せたまま、ひとり、仰向けになり暗闇を見つめた。
そして浮かんだ苦笑い。
“この子は信じてみてもいいんじゃないか?”
そんなふうに思った、数ヶ月前の自分に対する“あざけり”だ。
それと同時に、初めてのあの人の顔と、これまでの何人かの女の人の顔もぼんやり浮かんだ。
みんな、おんなじ顔をしてる……
