
公爵様の番ꕤ︎︎メイドは甘い香りに惹かれ落ちるꕤ︎︎
第1章 頭が理解についていけません
ドレスをまとっていたならば、声をかけられていただろう。
ちらほらとミラベルに向けられる視線は、メイド姿だと認識されれば諦めたように視線をそらす殿方ばかりだった。
視線を全く気にせずに空になったグラスを、左手に乗せたシルバーの丸いトレーに乗せている最中だった。
「君、ちょっといいかい?」
──いい香り···。
後ろから声をかけられると同時に、甘いような爽やかな香りがミラベルの鼻をくすぐった。
「君に話があるんだ」
はっ、としたように気が付いて、落とさないようにテーブルクロスのしかれたテーブルの上に、グラスを回収したトレーを乗せて振り向いた。
「申し訳ございません···!」
(まぁ、何てお綺麗な方)
ミラベルの視線の先にいたのは、甘い蜂蜜色をしたハニーブロンドの少し長めの髪に、エメラルドを嵌め込んだような綺麗な瞳の、美麗な男性がミラベルに柔らかな微笑を送っていた。
周りの令嬢達はその微笑にクラりと倒れ、腰を抜かした物もいた。
ミラベルよりも身分の高い方だとは一瞬で分かり、メイド服でありながら淑女の礼をとった。
「楽にしてもらって構わない···。やっと見つけた。貴女こそが私の番だ」
(···、え、今、何て?)
淑女の礼を解き、待っていたのはまさかの爆弾発言だった。
(私が番?···誰が···誰の···?)
ミラベルの思考は、一瞬にして凍結した。
ちょっと待って···理解ができません!!

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