
Dilemma
第2章 【過去一好きだった元カレ】
「覚えてるよ、よく美味しそうに飲んでたじゃん」
「そうだっけ?」
「そうだよ、それに待たされるの好きじゃないだろ?だからご機嫌ナナメになる前の特効薬的な?ハハハ」
何よそれ……と思いつつ、懐かしい笑顔
口角がキュッと上がって豪快に笑う仕草
凄く、好きだった顔
思い出に浸らないよう目を逸らした
そしたら顔覗き込んできて
「今ので機嫌悪くした?」って慌ててる
何なのよもう……
心臓の奥が苦しくなるのやめたい
「何年も前の私を持ち出さないで、もうちゃんと大人だし」
とか可愛げのない事を言ってしまう
そんな私を優しく見つめ返してくる元カレの方が
よっぽど大人なんだろうけど
「うん、仕事してて思うよ、下の人間にも慕われる良い先輩面してるよな」
「でしょ?」
「ぷはっ!そのドヤ顔は変わってないね」
「煩いな、もう」
「いや、嬉しいんだよ、好きだったところは変わってないから」
しれっとそういう事言うのもどうかと思うよ
急にマジ顔になるし、昔の話してくるし
リアクションに困る……
「其の手の話はナシ」
「しちゃダメ?」
「後輩に疑われてんの、一緒に居る時はマジで気をつけて、ただの顔見知り程度で話通してるから」
「俺って元カレ枠から抹消された?」
「だから、仕事中は変な空気になるからやめて」
「わかったよ、でも今は休憩中であって、その後輩とやらも居ないよ?」
クソっ…と睨みつけてしまった
ねぇ、誰か元カレに優しい対応出来る人居る?
こういう時の交わし方教えて
「俺は今日、結構楽しいんだけど?瑞希は?」
「名前で呼ばないで、私も仕事としては楽しんでますよ、上原さん」
なんて可愛くない元カノなんだろうって
自分でも嫌っていうほど思うけど
何であっちはいつもニコニコしてるの
「それは良かった」とか言って満足気に笑う
午後からも一緒に回って何とか無事に業務を終えた
それぞれの会社に報告メールを送る
明日はチェックアウトすればほぼ解散
少しだけ観光して帰ろうかな
いや、観光すると言えばついてきそう

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