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Dilemma

第2章 【過去一好きだった元カレ】






「酔うわけないでしょ」


「じゃ、烏龍茶頼むか」


「は?まだ飲めるし」


「そう言い出すとヤバいの、瑞希は」


「知ったような口利かないでよね」


「知ったような間柄だろ、昔、付き合ってたんだから」


「そうだった……そうだったね」


「やっぱり酔ってる、ペース早かったもんな、すみませーん、烏龍茶ください」



店員さんを呼んでオーダーした元カレの
ネクタイを引き寄せてしまう
顔が近付いて驚いている表情を見て
ふふん、と挑発してみせた
パッと手を離し、
グラスに残るアルコールを飲み干す



烏龍茶を持ってきてくれた店員さんに
「おかわりください」と自らオーダーする
呆れる元カレと交互に見て困っているから
両手でグラスを握らせて
「お願いします」と色気であざとく言うと
赤くなってる店員さん



店員さんが離れた直後に隣に来たと思いきや
腰から引き寄せ返されてしまう
再び顔が近い状況



「酔い過ぎ、俺の前でそういう事するなって」


「誰かさんが烏龍茶とか頼むから、まだ飲みたいのに…」


「誰かさんじゃないだろ、名前で呼べよ」



言葉に詰まって見つめ合う
ヤバい、結構回ってきてるかも
気分は良くて気も大きくなる



「瑞希、前みたいに俺の事呼んで」


「ヤダ、呼ばない」


「何で?俺は呼んで欲しいよ」


「呼んだら……全部なかった事になりそうだから」


「え…?」


「私が言った事も、傷付けた事も全部…なかった事にするでしょ?」


「ダメなの?前にも言ったけど俺は前に進みたいんだ、止まったままだから……もう取り消してくれない?全部、あんなの本音じゃないだろ?」



前に置かれた烏龍茶のグラス縁を指でなぞる



そう、一方的に別れた
私がまだ未熟だったからだ
仕事と恋愛を両立出来なかった
一番苦しい時期に八つ当たりばかりして
自爆したの
何もかも受け付けなくなった
一番好きな相手を拒絶した
一番想ってくれる人を手放した過去








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