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妻であること、女であること(仮

第1章 女の勘

「そ、そうなの?
だって私達45だよ?」

そう、私も朝夏も45歳。
旦那の尚太は47歳だ。
年齢的にそーゆーことは
もう卒業…ではないのだろうか。

いや、普通卒業でしょ?
と、私は夜の営みの無いことをずっと正当化して過ごしていた。

「何言ってんの?まだ40代だよ?
女は40代が一番性欲あるって言われてんだし」

相変わらず、ハッキリ物言う朝夏だ。

「たっちゃんだって家に居ないんだから、
いくらでもできるのにしないなんて、もったいない」

たっちゃんというのは、私の息子。
名前は巧。
大学に通うため一人暮らしをしているから、
朝夏の言う通りいくらでもできるのはできるんだけど…

「まぁそうはそうなんだけど。
誘われないだもん仕方ないじゃん…」

もうこの話を終わらせたい。
そう思った時だった。

「ただいま〜」

「やだ〜。樹里帰って来ちゃった。
部活やってないから帰って来るの早いのよね〜。
残念だけど、大人の話はここでおしまい」

そう言って朝夏は席を立ち、
学校から帰って来た娘の樹里を出迎えた。

「こんにちは、樹里ちゃん」

私は、相変わらず可愛い樹里ちゃんにそう言ったけど、
心の中では『ありがとう、樹里ちゃん』と呟いていた。

夜の営みの話を終わらせたかったから。

「ごめんね陶子、これからピアノなの」

「いいよいいよ、私こそ急に来てごめん。
じゃ、樹里ちゃん、ピアノ頑張ってね。
また来るね」

朝夏は結婚が遅かったから私と同じ45歳だけど、
樹里ちゃんはまだ10歳だ。
あ、ということは…夫婦としては12年くらい。
それに比べ、私の夫婦生活はもう23年だ。
それなら、朝夏に営みがあって、
私に無いのは当たり前なんじゃないだろうか。
うん、そうよ。
なんだ、ちょっと心配しちゃったじゃない。
朝夏と私じゃ状況が違うんだもの。

と、私は自分を納得させながら家に帰り
そしてまた、今日も台所に立った。
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