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中毒の処方箋 〜淫らな輪舞曲〜

第20章 飽食の時。栞(1)

栞。

いま思い返せば、あの子は名器だった。

社内では事務職員として、いつも控えめに机に向かっている。声も小さく、笑顔もどこか控えめで、誰の目にも特別に映ることはない。白いブラウスの袖口から覗く細い手首、髪を耳にかける仕草、書類をめくる指の動き——それらが、ふとした瞬間に私の視線を捉えて離さなかった。

社内恋愛は禁じられている。それでも、私たちは肉体を重ねるようになっていた。決まりを破ることへの疼きと、彼女の華奢な身体への抑えきれない好奇心が、私を静かに、しかし確実に引き込んでいった。

昼休み。

今日は社内の食堂にも、近所の店にも行かず、私たちはホテル街の一角にあるラブホテルの部屋にいた。カーテンを閉じた薄暗い室内に、かすかなエアコンの音だけが流れている。壁紙は落ち着いたベージュで、ベッドの白いシーツが部屋の中央でひっそりと光を帯びている。

栞はソファの端に腰を下ろし、膝を揃えてじっと動かない。白いブラウスの襟元から覗く鎖骨が、部屋の明かりに淡く光っていた。細い指が、無意識にスカートの裾をつまんでいる。

彼女の顔は、特別に美しいわけではない。けれど、切れ長の目と、すっと通った高い鼻、薄い唇が、控えめな輪郭の中にほどよく調和している。

まぶたは薄く、目尻がわずかに上がっているせいで、どこか寂しげで、それでいて子猫のように無防備な印象を与える。顎が小さく、頰から顎にかけてのラインが繊細で、指一本で持ち上げられそうなほどだ。

髪は肩にかかる長さで、黒く、湿気を含んだようにしっとりと沈んでいる。額にかかった前髪を、時折指先で払う仕草が、どこか幼い。

彼女の肌は白く、透き通るようだった。首筋から鎖骨、肩にかけて、薄い血管が淡く浮かび、触れればすぐに赤い痕が残ってしまいそうなほど繊細だ。華奢な体。ほっそりとした二の腕。肘の内側に、薄い青が走る。

身長は百五十センチに満たないほどで、立って抱きしめると、私の胸のあたりで頭が収まる。もし胸が豊かだったら、かえって均衡を崩していたかもしれない。

抱きしめると、骨のひとつが折れてしまいそうな脆さが、かえって彼女の身体を繊細に、そして強く感じさせた。肩甲骨のラインが、薄い布の下でかすかに浮かび上がり、背中を撫でると、脊椎の小さな突起が指に触れる。

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