
中毒の処方箋 〜淫らな輪舞曲〜
第15章 飽食の時。瑞希(1)
数週間後、瑞希から短いメッセージが届いた。
「先生。来て。一人で見られない」
指定されたのは、薬局近くにあるドラッグストアのバリアフリーのトイレだった。瑞希はそこに立ち、手に持った妊娠検査薬を私に見せた。検査機の窓枠に浮かび上がった、はっきりとした二本の線。
「……陽性だった」
瑞希の声は、驚くほど静かだった。目は潤んでいたが、涙は流さなかった。私は何も言えず、ただその検査薬を見つめていた。頭の中が真っ白になり、耳鳴りだけが響く。
「ピル、飲んでなかったから。でも、先生に中に出してほしくて……バカだよね、私」
瑞希はそう言いながら、初めて声を詰まらせた。
「瑠花にばれたら、終わりだよ。親友を裏切って、先生の子供を妊娠して。最低中の最低。でも、この子を産む勇気も、私にはない。先生の仕事も、瑠花との関係も、全部壊れる。だから……消して」
私は瑞希の手を握った。彼女の指は冷たく、小さく震えていた。
「すぐに病院、行こう」
それ以外の言葉が、出てこなかった。
一通りの手続きを終え、瑞希は診察室へ入っていた。次に私が瑞希を見たのは麻酔をかけられ、ストレッチャーの上に横たわる瑞希だった。
ストレッチャーが手術室へ運ばれ、重い扉が閉まる。私は「手術中」と光る赤いランプを見上げながら、暗い廊下に置かれた椅子に重い体を下した。
1時間後、手術は静かに終わった。私は女医に呼ばれ、診察室に入った。
「手術は終わりました……ですが、女性の体のこと……真剣に考えてください。決して……終わったってことで済まさないでください」
「分かりました……すいませんでした。この度は瑞希がお世話になりました」
女医の目つきは鋭く、その言葉は大変重みのある言葉だった。瑞希が嘘をついて起きた結果だが、彼女のことは責められない……彼女の責任じゃない。
椅子に座る私に看護師が声を掛けた。
「〇〇さん。もう部屋に入っても大丈夫ですよ。今、麻酔が効いてますので、しばらくは目を覚まさないと思いますが、傍にいてあげてください」
「先生。来て。一人で見られない」
指定されたのは、薬局近くにあるドラッグストアのバリアフリーのトイレだった。瑞希はそこに立ち、手に持った妊娠検査薬を私に見せた。検査機の窓枠に浮かび上がった、はっきりとした二本の線。
「……陽性だった」
瑞希の声は、驚くほど静かだった。目は潤んでいたが、涙は流さなかった。私は何も言えず、ただその検査薬を見つめていた。頭の中が真っ白になり、耳鳴りだけが響く。
「ピル、飲んでなかったから。でも、先生に中に出してほしくて……バカだよね、私」
瑞希はそう言いながら、初めて声を詰まらせた。
「瑠花にばれたら、終わりだよ。親友を裏切って、先生の子供を妊娠して。最低中の最低。でも、この子を産む勇気も、私にはない。先生の仕事も、瑠花との関係も、全部壊れる。だから……消して」
私は瑞希の手を握った。彼女の指は冷たく、小さく震えていた。
「すぐに病院、行こう」
それ以外の言葉が、出てこなかった。
一通りの手続きを終え、瑞希は診察室へ入っていた。次に私が瑞希を見たのは麻酔をかけられ、ストレッチャーの上に横たわる瑞希だった。
ストレッチャーが手術室へ運ばれ、重い扉が閉まる。私は「手術中」と光る赤いランプを見上げながら、暗い廊下に置かれた椅子に重い体を下した。
1時間後、手術は静かに終わった。私は女医に呼ばれ、診察室に入った。
「手術は終わりました……ですが、女性の体のこと……真剣に考えてください。決して……終わったってことで済まさないでください」
「分かりました……すいませんでした。この度は瑞希がお世話になりました」
女医の目つきは鋭く、その言葉は大変重みのある言葉だった。瑞希が嘘をついて起きた結果だが、彼女のことは責められない……彼女の責任じゃない。
椅子に座る私に看護師が声を掛けた。
「〇〇さん。もう部屋に入っても大丈夫ですよ。今、麻酔が効いてますので、しばらくは目を覚まさないと思いますが、傍にいてあげてください」

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