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中毒の処方箋 〜淫らな輪舞曲〜

第14章 飽食の時。佳代(6)

次の日の朝、私は強い雨が窓を叩く音で目が覚めた。ベッドの隣には佳代の姿はなかった。カーテンを開けると、鉛色の空から降る雨がガラス窓に小さな波紋を作っていた。差し込む光は薄暗かったが、波打つベッドシーツが昨日の情事の激しさを饒舌に物語っていた。

佳代がしてくれたのだろう……ベッドサイドのテーブルの上に畳まれて置かれたブリーフパンツを履き、お泊り用の服を羽織ってから、寝室を出た。

リビングには健一夫妻、そして佳代が集まり、テレビの天気予報を見つめながら、何かを語っていた。リビングにはコーヒーの香りが漂っていた。

「関西の降水確率90%。ってことは今日は一日中雨か……しかもこの本降りじゃあな……」

「傘を差しながら歩けるぐらいだったらいいけどさ……これじゃ無理だわ」

「京都の東山だったら、ここから私の車ですぐに行けるのにね……智子、じゃあ、屋内型の施設で何か時間つぶす?」

「いや……南禅寺に行きたかったから、むしろ、そういうところに行くのは退屈だわ」

健一夫妻の京都観光の予定はあっさりと白紙になった。

健一さんが「雨じゃどうしようもないよな」と苦笑いし、智子さんは「南禅寺行きたかったな……」と唇を尖らせたあと、ふと佳代のほうを見て、意味ありげに微笑んだ。

「ねえ、佳代……昨夜、壁越しに聞こえちゃったんだけどさ。エッチ、すごく激しかったの?……気持ちよさそうだったわね」

佳代はネグリジェの上に薄いガウンを羽織り、コーヒーを淹れながら、わざとらしく肩をすくめた。

「あら、ごめんなさいね。すっごく良かったのよ……先生が上手だもの……でも、智子たちも相当だったわよ」

健一さんがテーブルに肘をついて、低い声で続けた。

「正直、興奮したよ。隣でやってるのが聞こえると、こっちも余計に熱くなってな。そこで、提案なんだけど」

智子さんが身を乗り出し、頰をほんのり赤く染めながら言った。

「ねえ、佳代。セックスしてるところ、見せ合いっこしない? 壁ごしじゃなくて目の前で。全部の見せあいっこよ」

佳代の瞳に、一瞬、妖しい光が宿った。昨夜の告白の余韻がまだ体に残っている彼女は、私のほうをちらりと見て、ゆっくりと頷いた。

「……いいわよ。私も、智子たちがどんな風にやるのか、見てみたいし。……先生……いいかしら?」

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