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クラスの人気者は、刹那の2時間を買い戻したい。

第10章 逢瀬

刹那は通学途中に立ち寄る公園でバイクを降りた。

なんとなく習慣で煙草が吸いたくなるポイントだった。

ゴールデンウィーク中だからか、公園に子どもの姿が見られた。

刹那は公園の外側で、煙草を咥え火をつける。

なんの気なしに公園の中に目をやると、苑子がいるのが見えた。

煙草を吸い終えると、ヘルメットをかぶりバイクにまたがった。

「刹那くん!」

エンジンを掛けようとしたとこを苑子に呼び止められる。

「ども」

刹那は軽く会釈を返した。

「今日も学校?」

「まあ」

そのとき、苑子のスマホから着信音が鳴り響く。

「はい、苑子です。はい、はい、えぇ!……分かりました」

電話を切った苑子の顔は明らかに落ち込んでいる。

「……大丈夫?」

刹那は気遣わしげに彼女に訊ねた。

「いつもそう。直前になって行けなくなるって言うのよ」

「……」

「あら、ごめんなさい。愚痴ってしまったわ」

「よく分かんないけど、気ィ落とさないで」

苑子はなにか言いたそうにそわそわとしている。

やがて、意を決したように告げる。

「……あの、急なお誘いで迷惑かもしれないけど」

刹那を見つめる視線がオドオドしている。

「今夜、ウチで夕食を食べませんか?」

「ん?」

刹那はすこし惚けた表情で彼女を見つめていた。

苑子の話によると、今日は息子の誕生日で家族三人でお祝いをする事になっていた。

昨晩から祝いの料理を準備して、早朝から料理して完成させていた。

旦那の帰りを待つ間、公園で遊んでいたらしい。

そこに「予定が出来た」と断りの電話がかかってきた。

せっかく準備した料理がムダになってしまう。

たまたま見かけた刹那に旗が立ったという流れ。

「オレでよければ、ご馳走になります」

「ありがとう、刹那くん」

彼女は心から感謝していた。

苑子の息子は4歳になる樹。おとなしい子どもだった。

樹は刹那が気になるようで、遊びながらチラチラと見ている。

「食事が用意できるまで、お茶して待ってて」

といって、彼女の手作りスイーツと紅茶ポットで振る舞われた。

「いただきます」

「樹も食べて待ってなさい」

オレンジジュースの入ったコップを置く。

刹那は美味しそうにケーキを食べていた。

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