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クラスの人気者は、刹那の2時間を買い戻したい。

第9章 時間外労働

刹那が午前中の奉仕活動の話をすると、りくは大笑いしていた。

「あはは、で、戦利品ゲットしたんだ」

「ま、そんなとこ」

ビニール袋からパンを一つ掴み取ってパクついた。

「うまい」

「そこのパン美味しいよね」

りくは2リットルのペットボトルから直接水を飲んでいた。

「休み中もずっと部活なの」

「そうだよ。修学旅行が終わったら、夏の大会に向けて本格的に練習が始まるし、三年はそこで引退。そのあとは受験勉強が始まる、今のうちだよ遊べるの」

「……遊ぶ時間あるのか?」

「捩じ込むのさ」

刹那はつくづく感心していた。りくと別れて職員駐車場へ向かう、途中クラスメイトに声をかけられた。

刹那のカラオケがよほどインパクトを与えたらしい。

「刹那くーん!」

体育館の開け放たれた扉から大きく手を振る莉子の姿が見えた。

「今日はどうしたの?ってか、なんで私服なの」

刹那はリクに話したことをまた繰り返し話して聞かせた。莉子もまた大笑いしていた。

「ウケるんだけど〜」

「休みに学校とか時間外労働だろ」

「あはは、学生は労働じゃないってば」

莉子はお腹を抱えて笑っている。

「刹那くん、このあと時間があったらダンス見てってよ。一回通してみるから」

莉子のよく通る声が体育館内に響いて、部員たちが集まる。

掛け声と共に音楽が鳴り響いて、息のあったパフォーマンスが始まった。

綺麗に揃った動き、流れるように一人一人のダンスが繋がって一つになる。

刹那は食い入るようにダンスを眺めていた。

顔に汗の粒を光らせ、息を切らしている莉子が刹那の元にやってくる。

「星野メチャクチャカッコよかったぜ」

「ありがとう、でもまだまだね」

「そうなんだ」

タオルで汗を拭い、水分補給する。

莉子の体温を通していい香りが刹那の鼻腔をくすぐる。

「じゃ、そろそろいくよ」

「うん、見学してくれてありがとう」

「ああ、莉子も頑張れよ」

彼女が驚いた顔をしている。

(ん、なんだ)

「刹那くんが応援してくれたらもっと頑張れそう」

二人とも呼び方が自然に変わっていることに刹那だけが気づいていなかった。

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