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お題小説第9弾『蒼い夏』

第1章 蒼い望月

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「はい、麦茶ね…」
 茶目っ気たっぷりに手渡してくれる。

「さっきさぁ…」

「え?」

「覗いてたでしょう?」

「え、あ、い、いや…」

「ううん、覗いてたわ」

「あ、い、いや…」

「嘘、それにさぁ…」

「………」
 ボクの鼓動が、一気に速く、高鳴ってくる。

「毎日さぁ…」

「あ…」
 背中に冷や汗が…

「毎日さぁ、アソコからさぁ…」

「う……」
 冷や汗が、ツーと流れ落ちてくる。

「アソコ、ううん、垣根の隙間からさぁ…」

「……っ」
 ゴクリと喉が鳴る。

「垣根の隙間から、覗いているわよねぇ…」

「あ…」

「わたしを…さぁ……」

 言い訳ができない…
 いや、事実だから、逃れられない――

「あ、い、いや…」

「なぜ?」
 悠里さんの目が…

「………」

「なぜ……かなぁ?……」
 目が、妖しく光る。

「……っ、あ、い、いや……」

「一昨夜も、昨夜も…さっきも…さぁ……」

「え、あ…」
 ボクの鼓動が、爆発しそう。

「わたしの…お風呂上がりにさぁ…」

 ドキドキ…
 その言葉に、更に、高鳴ってしまう。

「………」

「お風呂上がりに、縁側で涼もうと…」

「あ…い、いや、あ、ほ、ほら…」

「え?」

「あ、ほら、つ、月が…」

「え?」

「あ、う、うん、ほ、ほら、お月さまが、き、キレイだから…」

 そう、今は初夏の満月『望月』――

 山あいの夜空に、蒼々と満月が輝いていた…
 いや、今も――

「へぇ…お月さまがぁ?……」

「……あ、う、うん……」
 すると悠里さんは、ジッとボクを見つめる。

「……嘘」

「え…」

「嘘よね?…」
 悠里さんの目が、満月よりも蒼々と光って見えた。

「嘘よ…違うでしょう……」

「え、あ…」

「さぁ、本当の事を…」

「あ…」
 逸れずに見つめてくる、その悠里さんの目に…
 蒼い目に…
 吸い込まれそうであった。

「本当は、違うでしょう?」

「う……」
 その蒼い目が、ボクの心を…
 震わせ、揺らがらせてくる。

「さぁ、本当は?」

 ボクはすっかり、その目に魅入られてしまい…

「ゆ、悠里さんを……」

「………」

「悠里さん、貴女を、見ていました」

「違うわ…」

「あ…の、覗いて…ましたぁ……」

「………」
 

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