テーム
第1章 佑希と亮
ぞわりと背筋が粟立つ。
すぐ側で、耳許で、佑希の声が響く。
背丈の差があまり無い私たち。
これは、詰め寄られれば逃げ場が無い?
「募らせてるの、お前だけじゃ無いんだよ。亮」
「だって、佑希は幼馴染み……っ」
「うん?幼馴染み以上に、ずっと大切な子だったよ」
「大切……」
「だからこそ、幼馴染みって位置を維持してたんだよなー……」
目を細めた彼の瞳と重なる。
口の中で、カランと音が鳴った。
「私、私は……、ずっと好きだった。幼馴染みから、抜け出したかった」
「そう、だったの?」
あれ、何だろう。
意外だと言うように佑希の表情は呆けていた。
「そうだよ。だから、ピアス……」
「もしかして、原因俺なの?……あー、ごめん」
「えっわ……佑希?」
落とされた声のトーンに、心臓が跳ねる。
私の肩に額を乗せるように、寄りかかってくると吐き出された息。
こんなに密着した事なんて初めてかも?
佑希からは、ほんのりミントが香っていた。
「俺の事好きなのは、知ってたんだけど。なんだ、そっかあ」
「え、なに、今の知ってた……え?」
私の知ってる佑希とは違う顔を垣間見た気がして、動けなくなった。
「俺はさ、亮はずっと幼馴染みのままが良いのかと思ってた」
「違う……私はっ」
「ねえ、亮。お互いエグ過ぎない?もう、これって純愛だよね」
「バカ……それ、聞く?」
「そう言うとこ、昔っから変わらないね。可愛い」
「恥ずい事、言うからだよ」
やっぱり、佑希の言う事はよく解らない。
ただ肩の重みと、繋がった手の感触は本当だ。
もう空けなくて良いいかも、なんて考えながら熱が退き始めた耳へ手を当てた。
END
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