今宵だけは~秘められた人妻との密会
第18章 終焉
「イク、出すよ」という掠れた声と共に、彼女の腰を離した瞬間、解き放たれた熱いしぶきが僕の腹部へと降り注ぐ。
射精の余韻の中で、二人はしばらくの間、無言で唇を重ね、互いの汗ばんだ肌の感触と体温を確かめ合った。快感に芯まで溶かされ、甘美な波に翻弄された人妻の、潤んだ瞳と乱れた吐息は、闇の中でより一層、妖しく美しく輝いて見えた。
「もう行くね。次はいつ会える?」 。別れ際、僕は彼女に提案した。
「今度、日帰りで有馬温泉でも行かない?」。
「いいよ。あそこなら大丈夫。主人と行ったことがあるから」
「どういう意味だい?」
「行ったことがない場所だと、つい口にした時に怪しまれるでしょ? そういうことよ。また連絡してね。じゃあね」
三週間後、私たちは有馬の地にいた。立ち込める濃密な湯気の中、彼女は「主人と来たことがあるから大丈夫」という、あの冷徹なほどに計算された口実を纏って私の前に立っていた。
しかし、ひとたび湯船に身を沈めれば、その理屈は熱に溶かされ、彼女の肌は温泉の熱を吸って、熟れた果実のように艶やかな薄桃色へと染まっていく。
有馬特有の、鉄分を含んだ赤褐色の「金泉」が、私たちの身体を隠すように包み込む。濁った湯面の下で、互いの脚が絡み合い、探り当てるような指先の愛撫が、彼女の喉から抑制の効かない小さな喘ぎを引き出した。
かつて夫と眺めたであろう同じ景色の中で、彼女は今、背徳という名のスパイスによって、日常では決して見せないほどに激しく、情熱的に私を求めてくる。
「言葉はあまりに無力だ」と記したその刻、部屋に場所を移しても、熱狂は冷めることを知らなかった。窓の外から聞こえる温泉街の喧騒は遠く、遮光カーテンに閉ざされた密室には、ただ重なり合う鼓動と、湿り気を帯びた肌が擦れ合う音だけが響いていた。
彼女の背中に深く爪が食い込み、震える肩が悦楽の深さを物語る。それは、夫との思い出を上書きするような、あるいは塗り潰すような、狂おしいほどに濃厚な至福の刻であった。
彼女が口にした「安心感」という名の言い訳が、かえってこの不倫の純度を極限まで高め、私たちはただ、底なしの快楽の渦へと静かに沈んでいった。
射精の余韻の中で、二人はしばらくの間、無言で唇を重ね、互いの汗ばんだ肌の感触と体温を確かめ合った。快感に芯まで溶かされ、甘美な波に翻弄された人妻の、潤んだ瞳と乱れた吐息は、闇の中でより一層、妖しく美しく輝いて見えた。
「もう行くね。次はいつ会える?」 。別れ際、僕は彼女に提案した。
「今度、日帰りで有馬温泉でも行かない?」。
「いいよ。あそこなら大丈夫。主人と行ったことがあるから」
「どういう意味だい?」
「行ったことがない場所だと、つい口にした時に怪しまれるでしょ? そういうことよ。また連絡してね。じゃあね」
三週間後、私たちは有馬の地にいた。立ち込める濃密な湯気の中、彼女は「主人と来たことがあるから大丈夫」という、あの冷徹なほどに計算された口実を纏って私の前に立っていた。
しかし、ひとたび湯船に身を沈めれば、その理屈は熱に溶かされ、彼女の肌は温泉の熱を吸って、熟れた果実のように艶やかな薄桃色へと染まっていく。
有馬特有の、鉄分を含んだ赤褐色の「金泉」が、私たちの身体を隠すように包み込む。濁った湯面の下で、互いの脚が絡み合い、探り当てるような指先の愛撫が、彼女の喉から抑制の効かない小さな喘ぎを引き出した。
かつて夫と眺めたであろう同じ景色の中で、彼女は今、背徳という名のスパイスによって、日常では決して見せないほどに激しく、情熱的に私を求めてくる。
「言葉はあまりに無力だ」と記したその刻、部屋に場所を移しても、熱狂は冷めることを知らなかった。窓の外から聞こえる温泉街の喧騒は遠く、遮光カーテンに閉ざされた密室には、ただ重なり合う鼓動と、湿り気を帯びた肌が擦れ合う音だけが響いていた。
彼女の背中に深く爪が食い込み、震える肩が悦楽の深さを物語る。それは、夫との思い出を上書きするような、あるいは塗り潰すような、狂おしいほどに濃厚な至福の刻であった。
彼女が口にした「安心感」という名の言い訳が、かえってこの不倫の純度を極限まで高め、私たちはただ、底なしの快楽の渦へと静かに沈んでいった。
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