SAKURA (さくら)
第4章 ソメイヨシノ 3 統括部長
それは、早咲の、しだれ桜がチラホラと咲き始めた…
春…弥生、三月――
私は…
『いよいよ、本部長に昇進が決まったよ…
四月の人事異動で発表になる…』
朝食のコーヒーを飲みながら…
妻、弥生に伝えた。
『そうしたら、弥生も、部長に推すから…』
『………』
だが、弥生は、返事が、遅れ…
カップを持つ手が、わずかに止まる。
『……そう』
それだけだった…
視線は、こちらを見ていない。
『………』
もう、重なっていない…
どこかで、ずれて、戻せないまま…
ここまで来てしまった―――
咲き満ちて
名を得た刹那
風立ちて
ふたりの距離が
音もなく裂く
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