
幻想遊園地
第8章 第8話:恋物語
『話し・・・してみようかな』
私にしては珍しい。そう思って、一歩を踏み出したが、すぐに話しかけることなど、もうできなくなった事を悟る。
やっぱりその女性は人を待っていたのだ。
多分恋人・・・もしくは旦那さんなのだろう。40歳くらいのスマートな男性だった。その男性を見るや、くだんの彼女は途端に自分の中の美しさを思い出したかのようにパッと輝き出した。
「人を待っていた・・・」
その光景を見て、私は呟いていた。
呟いた言葉の意味が一瞬わからなかった。
「私も・・・待っていた?」
次第にそれが形を成す。そして、やっと思い出すことができた。
そうだ、私は人を待っていたのだ。
誰も知った人のいないこの街で、あたしは私が人を待っていたということを思い出した。そして、待っていたという相手は、とても、とても大切な人だった気がするのだ。
私の目の前を先ほど出会ったカップルが通り過ぎようとしていた。しかし、ふと、男性の方が立ち止まった。
彼は私の方をじっと見つめた。
正確には、その視線は、私の顔を決して捉えてはいないことを
私は理解していた。
『そうか、そうだったよね・・・』
私はやっと全てを思い出す。
それは長い時の向こうに葬られた記憶
彼の瞳の中に映る私の姿
彼の中に残る、私の思い出・・・
私はとうとう長い間、自らに投げかけ続けた問の答えを見つけ出した。
街や人の心がいくら変わろうとも、思い出はいつまでも消えない。
たとえ、いっとき消えたように見えても、なくなってしまったわけではないのだと知った。
私は彼を知っていた。
そして、彼が私を覚えていてくれたことを、知ったのだ。
街を風が駆け抜ける。
秋の風がそよと過ぎる。
その風が私の身体をふわりと包みこんだ。
『あゝ、そうなんだ・・・』
羽のように軽くなった私の身体。
風に乗って宙に浮かぶ。
『私・・・ちゃんとあなたの思い出になれたのね』
私の魂はそのまま風に踊る。
「バイバイ」
手を振った。
ニコリと笑って。
精一杯笑って。
このたった一言が言えなくて、
それが私の枷になっていたことに、私はやっと気づいたのだ。
私にしては珍しい。そう思って、一歩を踏み出したが、すぐに話しかけることなど、もうできなくなった事を悟る。
やっぱりその女性は人を待っていたのだ。
多分恋人・・・もしくは旦那さんなのだろう。40歳くらいのスマートな男性だった。その男性を見るや、くだんの彼女は途端に自分の中の美しさを思い出したかのようにパッと輝き出した。
「人を待っていた・・・」
その光景を見て、私は呟いていた。
呟いた言葉の意味が一瞬わからなかった。
「私も・・・待っていた?」
次第にそれが形を成す。そして、やっと思い出すことができた。
そうだ、私は人を待っていたのだ。
誰も知った人のいないこの街で、あたしは私が人を待っていたということを思い出した。そして、待っていたという相手は、とても、とても大切な人だった気がするのだ。
私の目の前を先ほど出会ったカップルが通り過ぎようとしていた。しかし、ふと、男性の方が立ち止まった。
彼は私の方をじっと見つめた。
正確には、その視線は、私の顔を決して捉えてはいないことを
私は理解していた。
『そうか、そうだったよね・・・』
私はやっと全てを思い出す。
それは長い時の向こうに葬られた記憶
彼の瞳の中に映る私の姿
彼の中に残る、私の思い出・・・
私はとうとう長い間、自らに投げかけ続けた問の答えを見つけ出した。
街や人の心がいくら変わろうとも、思い出はいつまでも消えない。
たとえ、いっとき消えたように見えても、なくなってしまったわけではないのだと知った。
私は彼を知っていた。
そして、彼が私を覚えていてくれたことを、知ったのだ。
街を風が駆け抜ける。
秋の風がそよと過ぎる。
その風が私の身体をふわりと包みこんだ。
『あゝ、そうなんだ・・・』
羽のように軽くなった私の身体。
風に乗って宙に浮かぶ。
『私・・・ちゃんとあなたの思い出になれたのね』
私の魂はそのまま風に踊る。
「バイバイ」
手を振った。
ニコリと笑って。
精一杯笑って。
このたった一言が言えなくて、
それが私の枷になっていたことに、私はやっと気づいたのだ。

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