
キセキ
第18章 Vol.18〜ただ、傍に
☆☆☆
それから1ヶ月経って、
2か月が過ぎた。
彼はその公園に現れなくなった。
性懲りもなく、足を運んでいた私も、
次第に立ち寄ることが少なくなっていった。
更に何週間か経つ。
季節は冬。・・・もう、12月。
今年はとても寒くて、
1週間前には東京でも初雪を観測した。
それでも私は、
マフラーを巻いて、手袋をつけて
ふらふらと街を歩き続けていた。
あと、2週間もすれば今年も終わる。
ふと、数週間ぶりにあの公園を訪れていた。
そして、思った。
今日でもう止めよう、と。
行く場所も、帰る場所もないことより、
あった場所を失うことのほうが
もっともっと悲しいことだと、
私は知ってしまったから。
だったら、いっそ、
最初からなかったと思う方がいいのだ。
あの日と同じように、柵にもたれて、
遠くのビル群を眺めていた。
空は灰色に覆われていて、
ビルすらも冬の大気に霞んでいるみたいだった。
「寒いな・・・」
ほうと吐く息が白くなって、
空にふわりと消えていく。
厚手のコートを着ていても、
冬が身体に沁み通ってきそうだった。
「行こう」
誰にともなく呟いて、
私は踵を返した。
「あ・・・」
そこに、あの青年がいた。
マフラーを巻いて、グレーのコートを着て、
手袋をはめた手には、小さな紙袋を持っていた。
「ああ、良かった
何度か来てみたけれども、会えなかったから」
そう言って、紙袋を渡してきた。
「作品、間に合ったから
お礼しなきゃって思って」
それは小さな絵だった。
粉雪が舞う公園に女性が立っていた。
小さな絵なので、顔の造形はぼかしているけれども
なんとなく、それは私みたいにみえた。
「これ、私?」
びっくりしすぎて、まっすぐ聞いてしまった。
彼は少し目を泳がせてから、「はい」と言った。
初めて見る、表情だった。
一緒に名刺も入っていた。
名前と、メールアドレスと電話番号だけの
とてもシンプルな名刺だった。
「私・・・」
私も、慌てて自分の名を名乗る。
キセキのような、絵
いつの間にか、抱きしめるように抱えたその絵は
あの時の居場所のように、
とても、あったかかった。
それから1ヶ月経って、
2か月が過ぎた。
彼はその公園に現れなくなった。
性懲りもなく、足を運んでいた私も、
次第に立ち寄ることが少なくなっていった。
更に何週間か経つ。
季節は冬。・・・もう、12月。
今年はとても寒くて、
1週間前には東京でも初雪を観測した。
それでも私は、
マフラーを巻いて、手袋をつけて
ふらふらと街を歩き続けていた。
あと、2週間もすれば今年も終わる。
ふと、数週間ぶりにあの公園を訪れていた。
そして、思った。
今日でもう止めよう、と。
行く場所も、帰る場所もないことより、
あった場所を失うことのほうが
もっともっと悲しいことだと、
私は知ってしまったから。
だったら、いっそ、
最初からなかったと思う方がいいのだ。
あの日と同じように、柵にもたれて、
遠くのビル群を眺めていた。
空は灰色に覆われていて、
ビルすらも冬の大気に霞んでいるみたいだった。
「寒いな・・・」
ほうと吐く息が白くなって、
空にふわりと消えていく。
厚手のコートを着ていても、
冬が身体に沁み通ってきそうだった。
「行こう」
誰にともなく呟いて、
私は踵を返した。
「あ・・・」
そこに、あの青年がいた。
マフラーを巻いて、グレーのコートを着て、
手袋をはめた手には、小さな紙袋を持っていた。
「ああ、良かった
何度か来てみたけれども、会えなかったから」
そう言って、紙袋を渡してきた。
「作品、間に合ったから
お礼しなきゃって思って」
それは小さな絵だった。
粉雪が舞う公園に女性が立っていた。
小さな絵なので、顔の造形はぼかしているけれども
なんとなく、それは私みたいにみえた。
「これ、私?」
びっくりしすぎて、まっすぐ聞いてしまった。
彼は少し目を泳がせてから、「はい」と言った。
初めて見る、表情だった。
一緒に名刺も入っていた。
名前と、メールアドレスと電話番号だけの
とてもシンプルな名刺だった。
「私・・・」
私も、慌てて自分の名を名乗る。
キセキのような、絵
いつの間にか、抱きしめるように抱えたその絵は
あの時の居場所のように、
とても、あったかかった。

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