自殺紳士
第19章 Vol.19:時が降る
☆☆☆
「ずっと決めてたのよ
29歳で死ぬんだって
何度もそう言ったでしょ?」
ベッドに腰を掛けて私は『彼』に言った。
「聞きました
美しいまま、死にたい・・・って」
「そ、これ以上生きてたら、私
自分で自分を許せなくなる
だから死ぬの。
昔から決めていたことだから」
「美しさが自分が周囲に見せられる
最大の貢献だから・・・って言ってましたね」
「そうよ。
ここからは老いていくだけ。
別に、老人を否定するつもりはないわ。
でも、私がそう見られるのはやっぱり嫌なの」
「考え、変わりませんか?」
「ええ、変わらないわ」
そう、変わらない。
美しくないものに意味はないと思ってるわけではない。
ただ、周囲に見せる自分が、
若くて美しいままではいられないことが、
どうしても私には受け入れられないのだ。
でも、そう言えば・・・
ふと思い至る。
考えてみたら『彼』は、
『死んでほしくない』とは言うけれども、
『死んではいけない』とか
『若くなくたっていいじゃないか』とは
一言も言わなかった。
今も、腕ずくで私を止めることもできるだろうに、
それをすることもしなかった。
ただ、ただ、そこに居続けた。
一年間、私のそばに居続けたのだ。
時計を見ると、午後10時を回っている。
あと、2時間で最後の日が終わりを告げる。
多分、『帰れ』と言えば、『彼』は帰るだろう。
その時はきっと、
もう一度私を引き止めるために
『死んでほしくない』
と言うだろう。
「か・・・」
帰って欲しい、
そう言いかけて、
何故か私は言葉に詰まった。
この期に及んで躊躇してるのかと、
自分で自分がおかしくなったが、
それは死の恐怖とはちょっと違う気がした。
「ねえ・・・最後に聞かせてほしいの」
「なんでしょう?」
「あなたから見て、私って、どう見える?」
なんでこの時、私がこんなことを聞いたのか、
今となっては分からない。
でも、言葉が浮かんだのだ。
この、
家族でもない、
友達でもない、
ましてや恋人でもない人に、
聞きたくなってしまったのだ。
『彼』の目に映る私がどんな風か、
それを、聞きたくなったのだ。
「ずっと決めてたのよ
29歳で死ぬんだって
何度もそう言ったでしょ?」
ベッドに腰を掛けて私は『彼』に言った。
「聞きました
美しいまま、死にたい・・・って」
「そ、これ以上生きてたら、私
自分で自分を許せなくなる
だから死ぬの。
昔から決めていたことだから」
「美しさが自分が周囲に見せられる
最大の貢献だから・・・って言ってましたね」
「そうよ。
ここからは老いていくだけ。
別に、老人を否定するつもりはないわ。
でも、私がそう見られるのはやっぱり嫌なの」
「考え、変わりませんか?」
「ええ、変わらないわ」
そう、変わらない。
美しくないものに意味はないと思ってるわけではない。
ただ、周囲に見せる自分が、
若くて美しいままではいられないことが、
どうしても私には受け入れられないのだ。
でも、そう言えば・・・
ふと思い至る。
考えてみたら『彼』は、
『死んでほしくない』とは言うけれども、
『死んではいけない』とか
『若くなくたっていいじゃないか』とは
一言も言わなかった。
今も、腕ずくで私を止めることもできるだろうに、
それをすることもしなかった。
ただ、ただ、そこに居続けた。
一年間、私のそばに居続けたのだ。
時計を見ると、午後10時を回っている。
あと、2時間で最後の日が終わりを告げる。
多分、『帰れ』と言えば、『彼』は帰るだろう。
その時はきっと、
もう一度私を引き止めるために
『死んでほしくない』
と言うだろう。
「か・・・」
帰って欲しい、
そう言いかけて、
何故か私は言葉に詰まった。
この期に及んで躊躇してるのかと、
自分で自分がおかしくなったが、
それは死の恐怖とはちょっと違う気がした。
「ねえ・・・最後に聞かせてほしいの」
「なんでしょう?」
「あなたから見て、私って、どう見える?」
なんでこの時、私がこんなことを聞いたのか、
今となっては分からない。
でも、言葉が浮かんだのだ。
この、
家族でもない、
友達でもない、
ましてや恋人でもない人に、
聞きたくなってしまったのだ。
『彼』の目に映る私がどんな風か、
それを、聞きたくなったのだ。
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