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paradise lost

第1章 overture

わざわざカツラまで被ったのに、自分から目立ったらどうしようもないじゃないか…。俺は自省しながらイスから立ち上がる。
「滝澤 煌…得意楽器はヴァイオリンで、趣味は読書だ」
俺は短く自己紹介を済ませてイスに座り直す。俺の味気ない自己紹介にクラスが沈黙する。沈黙は数秒程でクラスは騒めきを取り戻した。自己紹介を終えた俺はソウの事を想い続けた。







「これから遊びに行くんだけど、煌も一緒に来いよ」
後ろの茶髪の男が俺を遊びに誘う。
「用事あるから無理」
俺はそれだけ行ってカバンを持ってソウのクラスのA組に向かうとちょうどソウが教室から出て来た。教室から出て来たソウは俺を見て驚愕する。俺は震えそうに足に力を入れて踏ん張る。ソウと再会した喜びのあまり何も考えずにソウに会いに来てしまった俺は何を話して良いか分からず、俺は口を噤む、ソウも俺の言葉を待って沈黙する。
「よお『玉木 蒼』くん?」
「…………………………」
俺の言葉にソウは渋い顔をする。そしてソウは俺から顔を背け、俺の隣を通り過ぎようとする。
「おい、待てよ」
俺がソウの肩を掴む。ソウを渋い顔をして俺の手を振り払う。俺は無言で立ち去るソウの背中をただ見送る事しか出来なかった。





「ああ、クソッ‼︎」
芳樹の高層マンションに帰って来た俺はソファーにカバンを投げ付け、カツラを外して、ネクタイを緩めた。帰って早々荒れている厄介な状態の俺に芳樹がやれやれとため息を吐いた。自分でも滅茶苦茶なキレ方したなと思いながらソファーに腰を掛ける。
「…………少し落ち着け…」
芳樹はキッチンに向かい、二人分のマグカップを準備する。
「今、コーヒー淹れるから、それを飲んで気持ちを落ち着けろ」
コーヒーサーバーにマグカップをセットしてコーヒーを二人分用意する芳樹。
「はい、どうぞ…」
「……悪い…」
俺が帰って来て早々キレ散らかした事を反省しているのと、俺の前にコーヒーを置いた。
「……何があったのか知らないが、あまり思い詰めるなよ」
芳樹は俺の向かいのソファーに座って俺が自己嫌悪に陥らないように声を掛ける。芳樹はコーヒーに砂糖とミルクをたっぷり入れて飲む。

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