
ひなとDoctors 〜柱と呼ばれる医師たち〜
第127章 懊悩
「すみません、五条先生。もう本当に大丈夫です。ありがとうございました。」
そろそろ仕事に戻らないといけないだろう。
仕事中だっただろうに、長い時間付き合わせてしまった。
そう思って言うと、
「なぁ、ひな?」
五条先生はベッドサイドの丸椅子に座り、
「何か考えてることあるだろ?何悩んでる?」
って。
「えっ?いや、別になにも…。」
五条先生の真剣な表情にすべてを見透かすような瞳。
急になによ…と視線を逸らすと、
「ひなずっと悩んだ顔してる。屋上行きたかったのもそのせいだろ。夜寝れてるのか?食欲ちゃんとあるか?かわいい顔が疲れてんだ。」
って、目の下のクマをなぞるように、わたしの頬に手を添える五条先生。
「……。」
「ん?」
「……。」
「どした?」
言葉が出てこなくて、ただ五条先生を見つめることしかできなくて、五条先生の手の温もりが頬をじんわり温めて、優しい声が心を溶かして、
「……もう、やめようかなって……。医者、やめる…………」
思いと涙が溶け出した。
