テキストサイズ

Restart

第5章 帰るべき場所


翔『暴れるんだってよ。……お前に会わせろって』

無意識に止めてた呼吸。
俺は一気に吐き出した。

翔『…おばさんと美奈ちゃんが付き添ってる。……ごめん、チカ』

震えるショウの声に、俺はグッと唇を噛み締めた。

「俺こそ…ごめん」

翔『…ハァ…本当は、一緒に連れてくるつもりだったんだ…入院しちまったから…』

「…そっか…ありがと」

『そろそろ時間だ』って言われて、翔は『また来るよ』と笑う。

「チエにさ。……愛してるからっつっといて?」

翔『あぁ。ちゃんと言っとく』

手を上げ、俺は連れられ部屋を出された。

悔しかった。
泣いてるチエの傍に居てやれない事。
涙を拭いてやれない事。
抱き締めてやれない事。

悔しくて仕方ない。


1ヶ月が過ぎた頃、姉貴が来た。

美奈『…痩せたね(笑)?』

「…そうか?」

美奈『…ハァ…ったく…馬鹿な弟持ったよ(笑)』

「悪い」

美奈『チカ』

「…ん」

美奈『チエちゃんさ。入院したの聞いたでしょ?』

「あぁ」

美奈『……あの子…流産したよ』

「…はっ!?」

美奈『入院してから、妊娠してのかって医者に言われてね?…流産してるって言われたって母さんが』

「…」

美奈『チエちゃんには言ってないから。母さんさ、あの子には最後まで言うなって。…このまま知らないで居るならその方がいいって』

「…ック…悪い…姉貴…」

美奈『馬鹿。…泣くくらいならもっと大事にしろっ…だから父さん言ったじゃないっ』

「…あぁ…ごめん」

チエを守るなんて…
本当に、馬鹿だ。
こんな、馬鹿な男でも…
あいつは待っててくれるだろうか…

美奈『…少しだけ、ご飯食べられる様になってきたの。母さんが引っ叩いてね(笑)』

「お袋?」

美奈『フフ(笑)…暴れてご飯も全部飛び散ってね?…"こんなんじゃチカは帰ってなんか来ないよ"って(笑)"会いたいなら!帰って来てほしいならちゃんと生きな!"って、チエちゃんを抱き締めてた(笑)』

捨てようとしたその命を俺に預けたんなら、尚更粗末にするなと。
お袋はチエを真剣に叱ってくれたらしい。

「…姉貴……これさ…チエに渡してほしい」

美奈『何?…ネックレス?』

「あぁ。チエの婆ちゃんの形見なんだってよ」

お袋さんの事があって落ち着いた時、チエは婆ちゃんの話をして俺に渡してくれた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ