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第5章 帰るべき場所


俺の分もサイズを計り、出来上がりまで時間があるから店を出た。

知恵「…チカ」

「んー?」

知恵「いい、の?あんな、高いの…」

「値段じゃねぇよ。俺、ずっとお前に何もしてやってねぇなぁって思ってさ?」

知恵「そんな事ないっ…ずっとチカ、一緒に居てくれてんじゃん。あたしそれだけで…」

「フフ♪いいの(笑)…俺が、それじゃ足りねぇの(笑)……泣くなよこんなとこで(笑)」

『…だっ、て』と俯くチエの頭を撫でて手を繋いだ。

指輪が出来るまで、予約したレストランに行く事にした。

また驚いた顔するチエ。

知恵「…こんな…高級な…」

「フフ(笑)…ごめんな?たまには格好付けようと思ったけど…さすがに俺じゃ予約なんか出来ねぇから、親父に頼んだ(笑)」

知恵「お父、さん?」

「あぁ。…ゆっくり楽しめって♪」

知恵「…」

「泣くなよ?…せっかく久し振りにメイクしたんだろ?」

知恵「ゥゥ…」

ちょっと俺には堅苦しい店だったけど。
それでも料理を食ったチエが『美味し♪』って笑うから。
その笑顔で十分だった。

知恵「チカ…ごめん…」

「何が」

知恵「あたし……チカの誕生日、知らない…」

「フハッ(笑)…そんな話してこなかったもんな(笑)?…俺も、本当の事言うと知らなかったんだ(笑)」

申し訳なさそうなチエに、俺も素直に侑に聞いた事を白状した。
本当は初めに聞いてたらしいのを俺が聞き逃してた事も。

知恵「フフ(笑)…そうなんだ(笑)?」

「だからお互い様だよ(笑)」

知恵「チカの誕生日いつ?」

「11月……26」

楽しそうに『次はチカの番ね?』と笑った。
『楽しみにしとく♪』って返せば嬉しそうに頷いた。


正直言えば。
高級ホテルの高級レストランで、そのまま甘い夜…なんて思ったりもした。
だけど、収入なんかないし予約すんのも結局親父に頼まなきゃなんねぇから。
俺なんかじゃホテルも受け付けてくんねぇだろう。
さすがに、夜の事情がバレるのはチエも恥ずかしいだろうし(笑)

レストランを出て、宝石店に戻る。
出来たそれを受け取り。

「どっか行きたい所ねぇ?」

知恵「んー…あ♪この前の海がいい♪」

歩いて行くにはさすがに遠いから、タクシーを拾った。

二人で眺めた海は、俺たちの倉庫の直ぐ側で。
楽し気な笑い声が微かに聞こえてくる。

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