
Restart
第5章 帰るべき場所
穏やかで幸せな日が過ぎて。
少しずつ陽射しが強くなって来たと思ったら、あっと言う間に真夏。
「…チエ」
知恵「んー?」
「今晩、飯でも行こうぜ♪」
知恵「…え?何で?…いいよ、作るよ」
あっさり断られる俺。
誕生日だって事も忘れてるらしい(笑)
こいつにサプライズなんて無理だと悟った。
「…ハァ…誕生日だろ?…デートして飯でも行こうぜ♪」
知恵「…」
「な♪?」
知恵「……忘れてた…」
ポカンとした後、苦笑いするから頭を撫でてやった。
普段、ジーンズにTシャツ姿の本当にラフな格好ばかりのチエ。
今日もせっかく"デート"っつってんのにそのまま出ようとするから、着替えさせ。
「フフ♪可愛いじゃん♪」
知恵「ゥゥ///…何か、恥ずかしい///」
一度も着てなかったワンピース。
背の低い知恵だけど、足首までの丈のそれは地味な色合いでも凄く似合ってて可愛い。
マンションを出て手を繋ぐ。
照れ臭そうだったのは最初だけ。
ふらふら街を歩いて気になった店に入って。
知恵「ねぇこれ、チカ似合いそう♪」
「俺じゃなくて(笑)…欲しいもんないのか?」
知恵「んー…分かんない(笑)」
「ははは(笑)」
何も買わずに店を出たら、申し訳なさそうにしてて笑った。
宝石店の前。
チエの手を引き中に入る俺。
ガラスケースの中に並ぶ宝飾品たち。
『…綺麗』と呟くチエに、欲しい物を聞いたって絶対言わねぇだろうから。
「…これ、見せて?」
店員「はい、お待ちください♪」
シンプルな指輪を指差す。
ケースから取り出すそれを見て、少し細すぎた。
眺める俺の隣で、何だか落ち着きないチエを気付かないフリしてる。
「あ、これ。ちょっと見せて?」
店員「はい。少し太めですが…」
「…触っていい?」
店員「えぇどうぞ♪」
幅の太めな、さほど飾りのないシンプルな指輪を手に取って。
チエの手を持ち上げ嵌めた。
「…デカいな」
店員「サイズは調整出来ますよ♪?」
知恵「ちょっ…チカ?」
「ん?…こう言うの嫌いか?」
知恵「そうじゃ、ないけど…」
「フフ♪…じゃこれ。こいつのサイズにしてください。…あ、それと同じ男用ってある?」
店員「ありがとうございます♪ございますよ♪」
店員がチエの手を取り薬指のサイズを計り…
『細、いですね』と呟いた。

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