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第4章 偏愛


侑の思いの強さを初めて聞いた気がする。
確かに、今までもどんな時だって俺の足として動いてくれて来た。
だからって俺はそれに関して当然だとは全く思ってない。
思った事もない。

「侑。…ありがと」

侑「すいません…生意気言いました」

「いや、いつも感謝してんだ」

侑「チカさん、いつも『ありがと』って言ってくださるから…だから、俺嬉しいし何があっても、って思うんです♪」

そう言って笑った侑。
凭れ掛かるチエがクスッと笑った。


病院の前に車を停めた。
体を支えながら降りて、ふらふらなチエを連れて歩くけど…

「…歩けるか?…抱こうか?」

知恵「…いい…ゲホッ…恥ずかし、から…ゴホッ…」

そうは言っても、俺に凭れ掛かるチエは殆んど自分で歩けてるとは言えない状態だ。

抱き上げた俺に、吃驚したチエは抵抗する力も気力もないから、大人しくしがみ付いた。
『我慢しろ、今だけだ』って呟けば、肩口に顔を埋めて頷くチエ。

ソファに座らせ、受け付けを済ませた。

待合室には夕方近い所為かそれ程の人が居ない。

「…大丈夫か?横んなってもいいぞ?」

知恵「…ゲホッ…ゴホッ…大、丈夫……肩、だけ、貸して?」

頭を乗せて寄り掛かる。

背中を擦ってやってた時、『増山さぁ~ん』って呼ばれ返事をしながら手を上げた。

看護師「…増山知恵さん?」

「はい」

看護師「問診票なんだけど…書けるかなぁ…無理なら旦那さんが代わりに書いてあげてくださいね?」

「…はい」

看護師「大丈夫?…横になるなら、そんなに人居ないから旦那さんの足借りて横になっても大丈夫よ?」

知恵「…ゲホッ…///」

「ありがとうございます」

優しそうな看護師が、やたらと俺を"旦那さん"って言うから、チエが顔を真っ赤にしてた。
俺も別に否定もしなかったけど。

知恵「…ゴホッ…旦那、さん、って///…ゲホッ…ゲホッ…」

「フハッ(笑)…今は、違うってだけだろ?」

頭を撫でてやれば、恥ずかしそうに…嬉しそうに笑った。

問診票を書いてさっきの看護師が取りに来て。

翔母「…増山さん…増山知恵さぁ~ん?」

「…立てるか?」

ゆっくり立ち上がるチエを支えて連れて行くと、『久し振りね?チーくん』って言われた。

「…頼むから、その呼び方やめてくれ」

ショウのお袋が笑う。

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