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第4章 偏愛


医者のくせに…

知恵「…ゲホッ…君は、もう、処女じや、ないのかとか…ゴホッ…ゲホッ…小学生、のくせに…って…Tシャツ、捲られ、て…」

予防接種に関係ねぇだろうがっ…

その時は看護師が阻止したから良かったと。
それだけでも不快な思いした筈なのに、中学入って直ぐの健康診断に来た医者が同じ奴だった。
衝立の中で、胸を触られたと。

知恵「…お医者さん…が、嫌い…ゲホッ……チ、カ…ごめん、ね?…ゴホッ…ゴホッ…」

こいつは…
こんな細い体でどんだけの辛い思いを繰り返してきたんだろう。

抱き締めて背中を擦り、携帯を取り出す。

翔『………はい?』

「悪い。お袋さんの病院って、女の医者、居ねぇの?」

翔『は?………あー…チエちゃんか……居るとは、思うけど…聞いてみる』

「悪いな?」

咳が止まらず、喉が痛いチエは泣きそうな顔をする。

直ぐに翔からの電話が来て、『…直ぐ連れて来いってよ』と言われた。

知恵「…チ、カ?」

「…大丈夫。な?病院行くぞ?」

知恵「…チ、カ…も?…一緒?」

「あぁ。大丈夫、着いてくから」

そっとキスをしたら、咳き込みながらも『…移っちゃう…ゲホッ…』って肩を力なく押すチエ。
今更だろ(笑)
これだけ一緒に居るんだ(笑)

「フハッ(笑)移ったらお前に看病してもらうさ(笑)」

辛いながらも嬉しそうに笑った。


部屋を出てタクシーを拾おうとしたのに…

侑「……俺が居るのに、タクシーなんて…」

「おまっ……移したら困るからだろ。タクシー呼ぶから帰っていい」

侑「チカさん。……送りますから」

知恵「…ゲホッ…ゴホッ…ゴホッ」

侑が、怒ってる。
いや、気持ちは有難いんだ。
けど、侑に移さない様にって俺の優しさ、だろ…

知恵が咳き込み始めて、こんな事に時間掛ける訳に行かないから、車に乗り込んだ。

「…怒んなよ」

侑「…」

知恵「…ゴホッ…侑、く…ゲホッ…ごめ、ね?…チカ、の、気持ち…ゲホッ…分かって、あげ、て?…ゴホッ…」

マスクの上から両手で口を塞ぎながら、チエが訴えてくれてる。
侑はミラー越しにチラッと視線を向けた。

侑「…すいません…俺寂しくて…いつもどんな時も、俺がお二人をお送りしたい。お迎えに行きたい。…優しさなのは分かってるんです。けど、俺はお二人の足で居たいんです」

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