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第4章 偏愛


『…ありがとう、チカ』って、微笑んだそれは、どの瞬間より綺麗だった。

知恵「…じゃあね?……時々、来るよ」

増山「うん。たまに一緒にご飯でも食べよ?」

知恵「あたし…お金ないから、母さん奢ってよ(笑)?」

増山「フフフ♪もちろんよ♪」

手を振りアパートを出たチエは、スッキリした顔して笑う。
頭を撫でたら少しだけ照れ臭そうだったけど、それでも嬉しそうだった。


最近、走りのない日は倉庫に来ない事もあるチエ。
今日もまた、部屋で留守番するって言うから、俺一人。

翔「おいおい(笑)…んなあからさまにつまんねぇ顔すんなって(笑)」

「…帰っていいか?」

潤紀「駄目だよ(笑)…今度の集会の打ち合わせまだでしょ(笑)」

「だったら早く終わらせようぜ」

爆笑するこいつら。
そんなこいつらの笑い声に、倉庫に居る数人が視線を向けた。

侑と涼太までが俺を笑ってた。

結局、今週末に集会する事になり。
走る時間は通常通り。

潤紀「…ちょっとだけ嫌な噂耳にしたんだよね…」

翔「…噂?」

潤紀「何か、少し前に隣県に新しいチーム出来たらしくてさ。…こっちまで走ってきてるんじゃないかって」

翔「は?…んでも、ただ走ってるだけなんだろ?」

潤紀「うん…とは、思う。ごめんまだちょっとした噂だから」

「……調べとけ。…変な動きしたら報告しろ」

潤紀「うん。分かってる」

…ハァ…面倒な事にならなきゃいい。

そんな事を思いながらも、やっぱり早く帰りてぇ(笑)
それでもこいつらがこうして集まる事が何より楽しみにしてるのも分かってるから。

日付が変わる前に、『…帰るぞ?』と、誰にともなく声を掛け立ち上がった。

『お疲れ様でしたっ!!』って、たくさんの声に手を上げ応え、車に乗り込む。

マンションに帰って玄関を開け『…ただいま』って声を出したけど…

「…寝たのか?」

返事がなくて、首を傾げながらリビングに向かった。

ソファに丸まってるチエ。

「…チエ?…ただいま」

頬に手を当て驚く。

「お前……いつからだよ」

知恵「…ハァ…チ、カ?…ハァ…」

「大丈夫か?…ほら、ベッド行こ」

知恵「…ハァ…ハァ…寒、ぃ…」

抱き上げたチエの体が尋常じゃねぇ熱さ。

ベッドに寝かせて、体温計と薬を探す。
『…チ、カァ』って、微かに呼ぶ声。

「今行くっ」

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