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第4章 偏愛


翔「凄ぇ力でさ…もう帰って来るっつっても全然、暴れて…」

「悪い」

泣きじゃくるチエは、あの日俺を待つ玄関での事が頭を過ったんだろう。 
『大丈夫か?』って聞けば『…ごめん』と謝る。

知恵「ごめんなさい、ショウ……皆、も、ごめんなさい…」

翔「大丈夫♪役に立たなくてごめんな?」

ブンブンと首を振ってた。

俺は傍に居た下の連中に少し外に出てくれと頼んだ。
腕の中のチエが不安そうに見上げるから、額にキスをして微笑む。

翔と三人になった部屋の中。

「チエ。お袋さん、お前に会いてぇって。…会って謝りてぇって、言ってたよ」

知恵「…」

「…会いたくねぇか?」

知恵「……分かん、ない」

「俺さ。今までの事全部、お袋さんにぶつけてやればいいんじゃねぇかって思ってんだよ」

向かい合わせに座る俺とチエ。
そっとチエの手を握り繋いだ。

ずっと寂しかった事も。
愛を知らずに居た事も。
死のうとした日々の事も。

全部ぶちまければ、スッキリすると思った。

「なぁチエ。…もしお袋さんに会ったとしても、俺と離れる事なんかねぇんだぞ?」

知恵「でも…兄貴…」

「何とでもする。…兄貴に会わない様にお袋さんに会う機会なんていくらでも作れるから」

知恵「…チカ、は……絶対…離れ、ない?」

「あぁ」

知恵「全部…話したら、スッキリ、する、かな?」

「…と思うぞ?……お袋さんな?……離婚してホッとしたのに、兄貴にまで手上げられてた」

翔「マジかっ!?……悪い…」

思わず声を上げたショウ。

チエもまた、驚き目を見開いたまま声も出せずにいた。
繋いだ手を撫でる俺。
キュッと微かに力が加わる。

「…嫌か?…会うの」

首を振ったチエ。
『…おいで?』と握った手を引き抱き締めた。

「大丈夫。心配ねぇから」

知恵「…一緒に、居て、くれるよね?」

「あぁ。大丈夫」

背中を擦り、お袋さんに会う為の段取りを頭の中で考えた。


だけど…

昌也さんは、一枚上手だった…
僅かな隙を、突かれた。


潤紀「チカさんっ!!チエちゃんが消えたっ!!」


叫ぶ様な声に、俺は心臓が止まった。

ゆっくり立ち上がる俺。

綾香「すいませんっ!!…トイレと仰ったので…」

駆け寄ってきた綾香を殴り飛ばした。
頭じゃ分かってる。
トイレまで着いてく訳にいかねぇ事くらい…

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