
Restart
第1章 終わり…
曲を選んでる彼の隣で、する事もなくボーッとする。
智翔「…あのさ…名前何ての?」
彼はデンモクをひたすらに眺めながら、ボソッと聞いてくる。
それはまるで、独り言の様で。
無言を返すあたしに、彼は視線を向けてくる。
智翔「名前。何て言うの?…俺、昨夜教えたじゃん」
「…チ、カ?」
智翔「…そ(笑)…んで、あんたは?」
「……知、恵」
智翔「へぇ♪…似てるな?俺たち(笑)」
ふにゃりと笑って、頭を撫でられた。
それも、今までに経験した事のない、優しい手付き。
思わず、恥ずかしさに俯く。
智翔「ははは(笑)…可愛いな?チエ♪」
やっぱり楽しそうに笑った。
何故、この人は何も聞かないんだろう…
あ、そっか…
別にそんな興味もないよね…
会ったばっかだし、ただ一人でここに入るのが恥ずかしいから連れて来ただけなんだし…
その後、彼はただただデンモクを弄るだけで、曲を入れて歌う事もなく…
部屋の中に流行りの歌が流れ続けてるだけの、無言の時間が暫く続いてた。
何となく…
不思議と、気まずさもなくて。
隣の彼の雰囲気だろうか。
黙ったままなのに、居心地いいとすら、思える。
どのくらい過ぎただろう。
彼の携帯が鳴り響いて、驚いたあたし。
『…悪い悪い(笑)』とポケットから携帯を取り出す彼のそれは、スピーカー状態。
智翔「…はい」
『おぉ、チカ?…お前まぁたサボっただろ?』
智翔「…まぁなぁ(笑)」
『…ったく…何処に居んだよ』
智翔「んー?…今カラオケボックス(笑)」
『…はぁ?一人で?』
智翔「んにゃ(笑)…女子と♪」
『……何処の?』
智翔「えー?何処のかは知らねぇ(笑)…けど、チエっつって、可愛いんだこれが♪」
『…ハァ……とりあえず行く』
プツリと切れた通話。
ニコニコと楽しそうな彼。
友達、居ないって…
ハッ(笑)
まさかね…こんな綺麗な顔した人が友達居ないなんて…
そんな訳ないか(笑)
「…フッ(笑)……馬鹿みたい(笑)」
思わず、乾いた笑いを溢した。
彼の視線を感じたけど、あたしはそのまま立ち上がる。
部屋を出ようとしたあたしの腕を掴む彼。
智翔「…何処行く」
「帰る。…友達、来るんでしょ?良かったじゃん」
智翔「…友達居ねぇっつったよな?」
「…居るじゃん(笑)電話の人……何なの?離してよ」

作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える