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第3章 一歩前進


涼太くんの彼女さんが、かなり落ち着いてきたって聞いたのは、連れ去られてから半月経った頃。

時々、倉庫に連れて来て。
あたしたちとトランプしたりして遊んでく様にまでなった。

嬉しくて毎日が楽しい♪

智翔「フッ♪…お前はやっぱ笑ってる方が可愛いよ♪」

「…へへへ///」

平和な日が暫く続いてた。

だけど、また倉庫の入り口が騒がしくなった。
綾香さんにチカの傍に行く様に言われて、あたしは素直に従う。

久し振りに、チカの雰囲気がピリッとしてた。

肩に回されたチカの手に力が入る。

一台の真っ白い車が停まって。

智翔「…昌也さん」

「…兄、貴」

チカの声と被った。
何で、チカが兄貴を知ってる?
え?
どう言う事?

昌也「…よぉ♪チカ♪」

智翔「お久し振りです」

昌也「……てめぇはこんなとこで何してんだ?」

「……何で…ここに来る?」

昌也「…ハァ…もう一年帰って来てねぇだろ。……帰るぞ」

「…は?嫌だよ。……あたしが居たって居なくたって、どうせ気付かないじゃん。連絡もないし」

昌也「…黙れ。いいから帰るぞ」

智翔「ちょっ!待ってくださいよっ!何ですか急に来て…」

兄貴に腕を掴まれて暴れる。
チカは何とか庇ってくれた。

昌也「…こいつは俺の妹だ」

「「「…は!?」」」

智翔「…チエ?」

「…」

昌也「ほら。さっさとしろ」

「今更…」

昌也「あ?」

「…今更何なの?…今まであたしの事なんか気にも止めなかったくせにさ。家の中でどんだけあたしが一人ぼっちだったと思ってんの?…何?体裁悪いから?だったら家族の縁なんか切ってくれていいよ」

"パーーーンッ!!"

生まれて初めて兄貴に手を上げられた。
無言で睨み付けてくる兄貴に、あたしも目一杯睨み付けた。

智翔「いくら昌也さんでも、女に手上げるのは見過ごせませんね?」

立ち上がったチカ。

翔「…大丈夫?」

「…うん」

昌也「…親父とお袋は、先月離婚した。お前の事を庇い続けてたお袋は、毎晩親父に殴られてたんだ。お前の話を聞いてやれなかったのも、返事をしなかったのも。全部親父の所為だ。チエの目の前で、手上げられる訳にいかねぇからっつって、お袋はずっと泣いてたよ」

智翔「何で親父さんはそんなにチエの事…」

昌也「…」

「………自分の子じゃないからでしょ(笑)?」


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