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第15章 【番外編】最後の約束


俺はそれから、この家に一人で住んでる。

高校卒業して専門学校を出て、バイクの修理と販売のショップを始めてて。
結婚もしてないどころか、彼女も居ない。

こんな身近で、こんな二人を見てきた俺には…
どうしてもここまで愛せる人が見つけられる気がしないんだ。

アヤはトアと結婚して息子が一人居る。

チハルも彼女と仲良くやってるらしい。
一度だけ会ったけど…
まぁまぁ、良い子だと…思う。
サエは少し前に高校卒業して、美容院で働きながら美容学校に通ってる。

父さんに貰った…って言うより、無理矢理取ったみたいになった、父さんのバイクは、今でも毎日エンジンを掛けて、時々走りに出掛けてる。

ショップを始めた当初は、まだ二人とも元気だった。
年に一回だけ、父さんが母さんを乗せて何処かへ出掛けてたっけ。


もう直ぐ、父さんが亡くなって一年が経つ。

やっと…
父さんたちの部屋にある物を整理する気になれた俺は、二人の部屋に亡くなって初めて入った。

まだ…
まるで今も使ってるみたいな状態の部屋。
グッと胸が詰まる。

クローゼットの中に並ぶ二人の服。

父さんの作業着は、俺が貰う事にした。
母さんの服たちは、アヤとサエが分ければいい。
チハルも、作業着いるか…
ショウさんが長い間働いてた部品工場に行ってるチハル。

数枚ある作業着を半分ずつ分けた。

必ず出掛ける時に着けてた腕時計。
チハルと相談するか…
引き出しの上に、封筒を見つけた。

母さんの字のそれ。

ごめん…
母さん…
俺には、まだ開ける勇気が、ねぇよ…

封がしっかりされてるそれを、俺はそっと仏壇に置いた。

「…ごめん…もうちょっと、待って…母さん…」

"愛する家族へ♪"

俺は、今になって…
涙が溢れ、止まらなくなった。
寂しい…
あんなに、仲の良い夫婦を俺は知らない。

どのくらい、泣いてたのか…

いつ来たのか分かんない。
『…トモ』って声に振り向けば、ショウさんが居た。

隣に座ったショウさんに、頭を撫でられる。

何も言わずに、隣に居るショウさん。
封筒に気付いたらしい。
小さく息を吐く様に笑う。

翔「…仕方ねぇよな?…まだ…開けられるほどの整理なんか付かねぇもんな?」

頷いた俺の頭を、やっぱり撫でてくれた。


母さんの一周忌が去年。
もうそろそろ父さんの一周忌。

今頃、二人で笑ってる?

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