
Restart
第11章 幸福と不安は隣り合わせ
二人でゆっくり過ごした年末。
大晦日に実家に帰り、今年はおせちをお袋に教えてもらいながら一緒に作ってたチエ。
年越しを親父たちと4人で過ごし、日付が回った瞬間に『今年もよろしく』と親父が笑う。
チエは『いつも心配ばかり掛けてごめんなさい』と頭を下げながらも、『よろしくお願いします』と笑った。
元旦の昼過ぎに姉貴が帰ってきて、また皆で初詣に出掛けた。
やっぱりチエは俺の上着の中に収まり嬉しそう。
今年は絵馬を書きたいって言ったチエ。
決して大きくはない絵馬だけど、込められたチエの願いは…
《チカを愛してる♪》
たったそれだけ。
だけどそこには、全てが詰まってる気がした。
正月はやっぱり出掛ける事なく家で過ごした俺たち。
親父たちは久し振りに二人で温泉に出掛けたらしい。
何だかんだと、幾つになっても仲の良い両親。
自分が出掛けた訳でもないのに、チエが凄く嬉しそうだった。
正月の気配が完全に消え去った頃。
世間もいつも通りの日常に戻り、俺もいつも通り仕事をしてた。
外で作業してた雅が『寒いっ!』と駆け込んで来てはジェットヒーターに当たってる姿を見て、俺も和も笑ってた。
昼少し前。
携帯が鳴り画面を見て慌てて通話を押した。
「どした?」
知恵『…チ、カ……ごめん…お腹、痛い、の…』
「直ぐ帰るっ」
和「どしたの?何かあった?」
「チエが腹痛ぇって……達也さんっ!すいませんちょっと出ますっ!」
途中の作業を和に頼み、俺は倉庫を飛び出した。
後ろで和が説明してくれてるのを聞きながら、バイクに跨がりエンジンを掛けアクセルを握る。
腹が痛ぇって…
何だ…
病気か?
気が気じゃなかった。
今までと違う気がして…
最悪、チエが居なくなるんじゃねぇって思いに襲われて、バイクを飛ばす。
「チエっ!」
知恵「…ハァ…チ、カ…」
リビングに駆け込めば、ソファで踞り冷や汗を滲ませるチエ。
俺はタクシーを呼び、チエに上着を着せた。
「病院行こうな?大丈夫だから、な?」
知恵「…フゥ…チカ…ごめん、ね?」
痛くて辛いくせに、直ぐこうして俺を気遣うこいつ。
グッと喉の奥が締め付けられる。
タクシーで病院へ向かった。
歩く事さえ辛そうなチエを抱き上げ院内へ。
受付をする俺に『…チーくん?』って声。
「おばちゃん…」
翔のお袋だった。

作品トップ
目次
作者トップ
レビューを見る
ファンになる
本棚へ入れる
拍手する
友達に教える