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第11章 幸福と不安は隣り合わせ


剥がしても剥がしても、諦めの悪い娘。

「……いい加減にしろ」

萌香「ねぇねぇ♪とりあえず名前教えてよ♪」

達也「あーぁ(笑)今年はチカか(笑)」

「おいっ!」

萌香「チカって言うの?名前も格好いい♪…ねぇ私は奥さんとか全然気にしないよ♪?…大丈夫♪二番目でも全然♪」

社長「モカっ!やめなさいっ!」

「…ハァ…マジで離せ。女でもいい加減にしねぇと手加減しねぇぞ」

萌香「やだっ!超格好いい♪その声♪」

マジで、頭痛ぇ…

無理矢理立ち上がり、『…帰ります』って娘を引き剥がす俺。
そこで電話が鳴り、何とか娘から離れた。

「………はい」

知恵「チカ?…ごめん、今大丈夫?」

不安気なチエの声。
少しの事にも敏感なこいつは、少し出るのが遅くなるだけで、心配そうな声になる。

もう帰るのか聞けば、タクシーでもいいと言う。
直ぐ行く事を伝え電話を切った。
和も同時に電話が来たらしい。

社長「すまんな…チカ」

「いえ。…すいませんお先です」

何とか雅が娘を掴まえてくれてた。
その間に俺はバイクに跨がりエンジンを掛け、メットを被る。
娘の声がしたのを完全無視してアクセルを握った。

このまま迎えに行けば、確実にチエは疑う。

けど、帰ってシャワーする時間なんかねぇ。
どうか風で少しでも匂いが取れてる事を願う。

居酒屋の隅に立つ二人。

バイクを降り近付いて頭を撫でた俺を、やっぱり不審な目で見てくる。

とりあえず帰ってからだと、腕を掴んだけど…
泣きそうな顔して和の彼女にしがみ付いたチエ。

参ったなぁ…
泣かせるのはベッドの中だけで十分だ。

どうする…

急いで来てくれた和。
早口で説明してくれた。
彼女もオヤジさんの娘を知ってるのか苦笑いしてた。


マンションに帰り急いでシャワーを浴びて匂いを消した。
俺自身も臭くて気持ち悪かった。

ソファの上で膝を抱えるチエ。

抱き締めれば、堪えてたらしい涙を溢しながら謝ってくる。

「ごめんな?嫌な思いさせた。…行かなきゃ良かった、マジで」

知恵「んーん…ごめん、なさい…チカ、疑ってないの…けど、どうしても……ごめん、ね?」

しがみ付く様に抱き付くチエを抱き締めながら『分かってる』って頭を撫でた。

少しずつ落ち着いてくるチエ。

知恵「…ショウに会った」

そう呟くチエの頬を拭ってやった。

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